
苛烈を極めた2014年侵攻の際もガザには緊急援助物資が入っていた。=2014年、ラファ 撮影:田中龍作=
「これはトラックではない生命線だ」。緊急援助物資を満載したコンボイが開門を待つラファの境界(エジプト側)に立った国連のグテレス事務総長が、血の涙を流すようにして訴えた。昨日のことだ。
医薬品、食料などからなる援助物資は、ガザ住民220万人のまさに生命線である。
だからこそイスラエルは検問所の扉を簡単に開けない。
ラファからやや東にケレームシャロームという検問所があり、つい数日前、イスラエルはオイルなどをわずかに入れた。

RAFAH CROSSING POINT(画面左上)。ガザ側はハマスが管理していた。=2014年、ラファ 撮影:田中龍作=
イスラエルの領土とガザの境界に設けられたケレームシャロームの検問所からであれば、イスラエルは何という品目をどれだけの量、ガザに入れたかを正確に管理できる。
ケレームシャロームからガザに搬入される物品は、一度ヨルダン川西岸のイスラエル軍基地に集められ、トラックに積み込まれる。極めて厳密に管理されるのだ。
エジプトからガザに入るラファの検問所からだとこうはいかない。援助物資の内容と量を、イスラエルは管理できないのだ。ラファを開門しない理由がここにある。
ガザ住民220万人を生殺しにするもしないも、イスラエルしだいだ。

女の子はナン(パンの一種)を受け取ったのだが浮かぬ顔だった。=2014年、ガザ 撮影:田中龍作=
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田中は人類史に残る大虐殺が起きる恐れのあるガザを取材するためにパレスチナに来ております。
危険手当を伴うためにドライバーに日額1千ドル(約14万円)も払わなければなりません。
飛行機代、ホテル代ですでに借金まみれとなっており、そこに巨額の取材費がのしかかります。
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