6月も終盤を迎え、梅仕事と果実酒の季節が終わろうとしている。
スーパーの店頭に並んでいた青梅や赤紫蘇、ラッキョウや新ショウガが姿を消し始めたのだ。
毎年、この季節になるとスーパーの野菜売り場にホワイトリカーや酢、氷砂糖などのコーナーができる。青梅はほんの数週間しか出回らない。コストを考え、思案するうちに季節が終わってしまう。
青梅だけでキロ当たり千円近くする。原料を全部買ってまかなうと、梅干しや梅酒作りは贅沢な台所遊びとも言える。梅干しや梅酒作りからはすっかり遠ざかっていた。
だが今年は実家から青梅が送られてきた。重い腰を上げざるを得なかった。食品値上げが相次ぐ中、タダで手に入れた梅を活用して梅干し作りに挑戦しようではないか。
結果、4-5キロを梅干しに仕込むこととなった。状態のよくない梅が20粒ほど残ったので梅シロップを作ろうとしたが、さて、氷砂糖がない。
氷砂糖を買いに近隣のAスーパーに出かけた。ここでは1キロ500円を超える。Bスーパーに行ったところ税抜き価格が398円だった。これなら買える。
店によってずいぶん価格差があるのだということに気がついた。氷砂糖はふつう、砂糖売り場の隅っこにある。白砂糖もあまり使わないので、値段を今まで気にしたこともなかった。
ところが梅シロップに使う砂糖類、そして梅干しに欠かせない塩が7月1日に大幅値上げされるというではないか。
各種報道によると大手製糖メーカーが5%、1キロ当たり12円の値上げをするという。大手が上げれば他社も追随する。
塩については塩事業センターが、家庭用塩11品目を20%から30%値上げするそうだ。他の大手製塩業者も家庭用塩など39品目が最大11%の値上げ。
塩や砂糖は食生活に欠くことのできない調味料である。
今は1キロ200円くらいだとして、今に2倍、3倍となったら買えない人が出てくるだろう。塩なしで梅干しが、砂糖なしで肉じゃがが作れるかよ!主婦の叫びがスーパーにこだましそうだ。。。
マイナンバーには潤沢に使われる予算が、食品価格の急騰にはまったく対処されない。それでよいのか?
塩や砂糖さえおいそれと買えなくなって、手作りの梅干しや梅酒がフトコロに余裕のある人達の手すさびになってしまうのだけは避けたい。
梅仕事という季語が無くなるのに等しいからだ。
~おわり~
◇
【読者の皆様】
お一人がひと月に一度だけ、五百円を寄せて下されば、『田中龍作ジャーナル』は存続できます。
↓