そこは駅に直結しているとはいえ、普通の中型スーパーだ。100均や100円コンビニではない。
だが、週に2回、月曜日と金曜日には野菜に限ってだが、100円になる。もうかれこれ15年くらいは続いている。
スーパーの入り口には所狭しと並べられた野菜の箱がならぶ。リンゴ、キウイなどの果物も1個100円。赤や黄色の大きなパプリカ、キャベツ半玉、ジャガイモ、ニンジン、玉ネギ、ナスにピーマン、ゴーヤにズッキーニ。およそ20~30種類はあるだろうか。
野菜売り場の半分くらいが100円均一になる。もちろん、セール翌日になれば、野菜は普段の値段に戻る。本来の値段は3割増しくらいだ。中には採算度外視の商品もあるだろうが、客寄せだろうと何だろうと、安いのはありがたい。
本体価格が分かりやすいので、支払い額がだいたい計算できる。
きょうび、食べたいものをポンポンとカゴに入れると5,000円は吹っ飛ぶ。野菜の金額だけでも計算できれば、レジで「今日は買い過ぎたな」と後悔することがなくなるのだ。
野菜の値段が安定的だと有難いのは、昨年末頃から始まった著しい値上げのせいでもある。
26日に発表された消費者物価指数(東京都5月速報値)によると2023年度の消費者物価はなんと41年ぶりに前年度比3%上昇した。
生鮮品を除く食料品は前年同月比で46年9が月ぶりに8.2%上昇したのである。
2022年秋に始まった加工食品などの値上げラッシュは今年になって3月に3,000品目、4月に5,000品目、5月に800品目、6月には3,000品目を超えるとも言われる。
エネルギーや原材料の高騰というのが理由だが、もはやドミノ倒しで値上げされているような感覚だ。
これまではデフレだったので庶民は何とかやりくりできていた。だが局面は180度変わった。コンビニでおにぎりを万引きする年金生活者も珍しくなくなった。
近々ありそうな総選挙の後は、軍備増強や少子化対策の財源として増税と保険料の値上げが、庶民に襲い掛かってくる。
どうやって生きてゆけというのか。
~終わり~
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