「ロシア軍が侵攻してくる」…欧米首脳や安全保障当局者が、こう言い始めてもう何か月経っただろうか。
最近になって攻撃開始の予想日を限極し始めたが、その中でも最も具体的だったのが2月16日だった。
ゼレンスキー大統領はこの日を「ウクライナ統一の日」として定め、国民に呼びかけた。2月16日の攻撃開始説が強まっていたからだ。
この日は飛行機の乗り入れも止まるとの情報もあったが、KLMオランダ航空を除いては、普通に動いているようだ。
こうした情勢もあって一般の国民の間に危機感は薄い。
ゼレンスキー大統領が呼びかけた「統一の日」は盛り上がりに欠けた。
メイン会場のオリンピックスタジアムは映像で見る限りガラガラだ。
市民の間で最も人気の高い独立広場で100人いるか、いないか。ただし半分以上は内外のメディアだ。
ここでインタビューしても政府が用意したようなコメントしか出て来ないだろう。
前日(15日)、東京の銀座にあたるフレシャーチク通りで、道行く人々にインタビューした。ロシア語使いの青年の協力を得て片っ端から話を聞いた。
インテリ風のカップル(30代)に「ロシア軍の侵攻はあると思うか?」と尋ねると、男性は「ドラマ・劇だ」と間髪を入れずに答えた。
「もし侵攻してきたら戦うか?」
「何のために?」
別のカップル(男性)は「ただの挑発。侵攻してくる理由がない」と答えた。
20代の男性は「ロシアはウクライナの情勢を不安定にしたいだけ。ウクライナをコントロールしたいのだろう」。
「もし戦争になったら田舎に逃げる」
普通の市民は戦争が差し迫っているとは、捉えていないようだ。
領土防衛隊(TDF・非常時の兵力13万人)は少年兵・少女兵までもが「銃を取ってロシア軍を撃つ」と決意を示す。これは国民の一部の考えに過ぎないのだろうか。
きょうは侵攻の可能性が高いと言われた16日だが、今のところロシア軍の攻撃が始まったという情報はない。
~終わり~