進化してより凶暴になったデルタ株が待ち受けるパラリンピック競技会場に学童を送り込もうという学校連携観戦プログラム。
都内の自治体が次々と取り止めるなか、残るは1市3区となった(24日現在)。八王子市、渋谷区、新宿区、杉並区の小中学生2万人が動員されるのである。
杉並区役所前では、元学校教師、父母ら住民が、きょう26日、田中良区長に向けて「子供の感染が増えるなか、危険な観戦に連れて行かないで下さい」と訴えた。
田中区長に向けて訴えたのは学校観戦が「区長案件」だからだ。
筆者はこの日、区内の元中学校校長や父母らと共に教育委員会を傍聴した。唖然とした。
父母や教育現場が悲鳴をあげている問題なのに一秒も議論しないのである。
理由は簡単だ。名誉職ともいえる教育長や教育委員の人事は首長が影響力を持つ。
「学校観戦」を議論して行かせれば、教育委員会が父母をはじめ住民から突き上げられる。一方、行かせないことにすれば、区長からニラまれる。議題にあげなかった最大唯一の理由である。
校長の人事は教育長が影響力を持つ。区内の中学校23校のうち11校、小学校40校のうち35校の校長が生徒の親に希望を聞くという体裁をとった。学童よりも自分の人事を優先させたのだ。
結果、学童3千人が、28日と29日、武蔵野の森総合スポーツプラザ(調布市)で行われる車椅子バスケットボールを観戦することになった。
骨のある校長であれば「ウチは行かせない」と拒否できたのである。事実、中学校22校、小学校5校の校長が拒否した。
区役所前の集会に参加したある母親は、中学校2年生の娘を「観戦に行かせない」と決めている。だが「学校が決めたのに行かないとは何事か!と言われてイジメに遭うのではないか、と母娘ともに心配している」と顔をくもらせた。
母親は「パラリンピックの観戦よりも子供の命なのに」と悔しがった。
~終わり~