あれから4年 「森友スクープ」実は地元議員による執念の追及だった

木村真議員なかりせば森友問題が世に出ることはなかった。2017年、日隅一雄・情報流通促進賞の受賞式で。=撮影:田中龍作=

 ウソ、はったりの類である。朝日新聞は、読者を無知だと思っているのだろうか。

 きょう9日の朝刊に「森友学園へ国有地が大幅値引きで売却された問題が朝日新聞の報道で発覚してから9日で4年」とある。笑止だ。

 森友問題は朝日新聞の報道で発覚したのではない。疑惑を地道に追及していた地元・豊中市議会の木村真議員が情報開示を求めて大阪地裁に提訴した。2017年2月8日のことだ。木村議員は提訴後、記者会見を持った。

 朝日新聞は8日の記者会見を受けて記事にしたに過ぎない。朝日新聞が「森友問題が発覚した」と豪語する9日の報道とは、このことだ。

 記事は「訴状によると」で書ける。裁判所と原告に責任をなすりつけることができるので、相手が安倍首相であろうとも恐くない。

 木村議員は豊中市役所の記者クラブ員に、提訴以前から、森友学園への土地払い下げ疑惑をレクチャーしていた。

 だが、どの社も記事にしなかった。安倍政権への忖度だろう。記者たちは木村議員に「企画会議に掛けても上(上司)がウンと言わんのですわ」とコボしていたという。

「記念小學院」の上には「安倍晋三」と入る予定だった、との説がある。=2017年10月、豊中市 撮影:田中龍作=

 森友の発覚から約1ヵ月後、今治市で加計問題が明るみに出た。

 今治市役所にはご立派な記者クラブがある。今治市が36億7500万円の市有地を「アベ友学園」に無償譲渡したのだ。予算措置を伴うので、記者さんたちが知らないはずはなかった。

 問題が大きくなった時、森友問題を精力的に追及していた野党議員から言われた。「全国紙の記者さんは田中(龍作)さんを恨んでますよ。『俺たち知ってたのに田中さんに書かれた』って」。

 森友も加計も記者クラブメディアは知ってて書かなかったのである。いや「書けなかった」と言う方が正確だろう。

加計学園による地元説明会は大荒れになった。地元住民は加計幹部を乗せた車の前に立ちはだかった。=2017年9月、今治市役所前 撮影:田中龍作= 

 この姿勢は未曾有の国難である「コロナ」に引き継がれた。

 オリンピックを開催したい一心で、政権はPCR検査を抑制した・・・この疑惑を追及する報道があっただろうか。

 経営幹部がオリンピック組織委員会に名を連ね、社は公式スポンサーとなる。新聞テレビがオリンピックに水を差すような報道ができるわけないのだ。

 医師会が「GoToはウイルスを拡散する」として政府を諫めた時、新聞テレビは本気で止めたか?

 今、真相究明はまっとうな野党議員に頼るしかないのだろうか。

     ~終わり~
   
   ◇
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