【ナゴルノカラバフ発】紛争地で子ども脅かすイスラエル製ドローン 日本の技術も


「あの辺をドローンが飛んでいた」。メリーさんは田中が尋ねもしないのに空を指さして言った。=3日、ステパノケルト 撮影:田中龍作=

 「空にドローンが飛んでいて爆弾を落とした」。メリーさん(小学4年生)は空を指さして言った。

 今回の戦争でアルメニア軍はアゼルバイジャン軍のドローン攻撃で大きな痛手を被った。虎の子の戦車をドローンの精密爆撃で失うなどしたのである。

 アゼルバイジャン軍のドローンはイスラエル製だ。日本の技術が使われている。それも偵察対象、攻撃対象を識別する「目」の部分だ。
 
 パレスチナ自治区ガザの子どもたちの多くが、イスラエルの攻撃によりPTSDを発症する。発症原因の75%はドローンだ。

 メリーさんは家族と共に戦争中もステパノケルトで過ごした。一旦は首都エレバンに逃れたが、5日後には、ステパノケルトに戻ってきた。

 「私たちの土地だ。ここがいい」。危険を冒してまでカラバフに帰ってきた理由を母親は語った。

メリーさんの家族が40日間を過ごしたシェルター。停電するとロウソクの灯りだけが頼りだった。=3日、ステパノケルト 撮影:田中龍作=

 家族は空爆下をシェルターで過ごした。小中学校校舎の地下がシェルターになっていた。

 地下にいても「ボーン、ボーン」と着弾する音が聞こえた、という。

 今のところメリーさんはPTSDを発症していないようだ。

 カラバフの児童は「戦場を見なくて済む日本のようになりたい」と言った。

 だが、子どもたちを育んだカラバフの大地を攻撃しているドローンの肝心要の部分は日本の技術なのだ・・・あまりに矛盾した、そして悲しい現実である。

      ~終わり~

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