「逃亡犯条例(※)を撤回する」…林鄭行政長官のマヤカシに香港市民は反発した。(※中央政府にとって好ましからざる人物を中国に引き渡すことを可能にする条例)
警察による市民への情け容赦ない取り締まりは、中国による支配が進めば予想されることだ。
「林鄭死全家」「落地獄」(=林鄭行政長官の家族は全員死ね、地獄に堕ちろ)・・・
機動隊による暴行事件を引き起こした旺角警察署には、4日夜も抗議の民衆が大挙して押し掛け怒号を浴びせた。
この夜はいつもと違った。旺角警察署前の大通りを通る車のドライバーがクラクションを けたたましく 鳴らして抗議の意思を示したのである。それは2時間も3時間も続いた。
こうなった経緯を述べよう―
林鄭長官の手口を知り抜いている民主派勢力は、マヤカシが繰り出されることを読んで「5大訴求」を掲げていた。
5大訴求とは―
1)逃亡犯条例の撤回
2)警察の暴力や黒社会とのつながりに関する独立調査委員会の設置
3)プロテスターに対する監視の撤回
4)デモ隊が立法会ビルへの突入を図った6月12日の行動を暴動としたことの撤回
5)普通選挙の実施
民主派勢力はかれら5つの要求のうち、どれか一つが欠けても、デモを掛け続けるとしていた。
林鄭長官が4日、認めたのはわずか一つに過ぎない。
香港市民が最も速やかな実施を求めているのが2番目の「警察の暴力や黒社会とのつながりに関する独立調査委員会の設置」だ。
これこそ中国共産党に対する追及となるため、林鄭長官が認めるわけにはいかない。
黒社会に詳しい現地ジャーナリストによれば、香港のギャングをコントロールしているのは中国共産党だ。
三合会と見られるギャングがデモ隊を襲撃した元朗駅事件(7月21日発生)の際、警察の出動が大幅に遅れ、捜査も遅々として進まなかった。
中国共産党、警察、黒社会が分かち難く結びついていることを、香港市民はイヤというほど知っているのだ。
警察はギャングのデモ隊襲撃は見逃す一方で、デモ隊やプロテスターに対しては容赦なく取り締まる。
市民が怒り心頭に発しているのは8月31日、太子駅構内で、機動隊がプロテスターと見られる乗降客に手当たり次第に暴行を加えながら逮捕して行った事件だ。
太子駅は旺角警察署の最寄駅である。同署前に連夜、民衆が押し掛けているのはこのためだ。
日本のマスコミは林鄭長官がいかにも譲歩したような伝え方をしているが、オカド違いだ。
独立調査委員会の設置を拒んだことで林鄭長官は中国を守り切ったのである。
~終わり~