26日深夜、市民数十人が九龍半島の下町にある警察署に押し掛けた。デモ隊ではない。前日、警察官が民衆に銃口を向けたことに抗議したものと見られる。
「ここに集まることは違法だ」。警察が拡声器を使って警告したが、抗議の市民たちは立ち去らなかった。
制服警察官がこん棒、ゴム弾銃、催涙弾銃を手に丸腰の市民たちに向かって突進して行った。
現場は深水埗という名の街で、飲食店や商店が軒を連ねる。2階から上がアパート。香港の典型的な下町だ。
飲食店街を警察に追い回され、逃げ遅れた男性一人と女性一人が逮捕された。
男性は白のTシャツとジーンズ姿で30代とみられる。女性はデニム地のスカート姿。20代だろうか。2人とも後ろ手にされ縄でくくられた。
恰好からしてデモ隊ではないことがわかる。第一、デモ隊特有の黒いマスクと黒いシャツではない。
警察は2人を護送車に乗せ終えると、抗議の市民が逃げ込んだとみられる近くのアパートに踏み込んだ。
だが誰も逮捕されなかった。見込み捜査が外れたのだろうか。
地元住民たちは深夜にもかかわらず通りまで出てきて、警察に激しい怒号を浴びせた。
デモ隊に振り回され苛立つ警察の目には、丸腰の市民数十人が集まっただけでも脅威に見えるのだろうか。住民と警察の信頼関係は完全に崩れた。
まさかと思いたいが、ゲリラ狩りの予行演習を始めたのだろうか。
~終わり~