日本の近未来を見る思いだった。移民労働者たちが18日夜(日本時間19日未明)、パリの大通りでデモを掛けたのである。「俺たちも市民として扱え」「我々にも権利を」と訴えて。待遇改善などといった生やさしいものではない。
デモ隊は、共和国広場(日比谷公園に相当)を出発して、オペラ座方面を目指した。支援者を加えると参加者はゆうに1万人を超えるだろう。最後尾が見えない。
移民労働者の多くはフランスが植民地にしていた北アフリカの出身だ。国内の移民労働者は760万人。労働人口の8.9%にあたる。(CNRS:国立科学研究センターまとめ)
移民労働者のうち20~40万人が不法在留と見られている。在留許可証を持っていないことから彼らは「サン・パピエ」と呼ばれる。問題は当局が不法在留をわざと見逃してきたことだ。
在留許可証を出せば、労働法制や福祉の網がかかる。「在留していない」ことになっているサン・パピエは、最賃以下で長時間働かすことができ、しかも使い捨て可能ときている。強いて言えば奴隷だ。資本家にとってこれほど有難い存在はない。
東洋のとある国の技能実習生と同じだ。先進国家フランスの恥部でもある。
デモに参加した移民労働者にインタビューを試みた。「モルジブ、コート・ジボアール、マリ・・・」出身国は答えてくれた。だが不法就労していることを知られたくないのか、「失業中」という答えばかりだった。移民労働者は雇用の調整弁にされているため、失業中であっても不思議はないが。
「イヨン・ナ・マール=もうたくさんだ」サン・パピエたちは叫んだ。打ち鳴らすドラムは遠き故国で響いていたリズムだろうか。
「ソリダリテ・アベック・レ・サン・パピエ=サン・パピエと連帯しよう」支援者たちはシュプレヒコールをあげながらデモ行進した。
機動隊はデモ隊を遠巻きに見ているだけだった。国家として後ろめたさがあることを、機動隊員も薄々理解しているのだろう。
~終わり~
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フランスは日本と同じ社会事情になっています。金持ち優遇のマクロン政権と安倍政権が同じ政治手法を取っているからです。
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