政治経験が長く沖縄と関わりの深い人物が、大票田の那覇市、沖縄市(旧コザ)、うるま市の商店を一軒一軒回った。
商店主はたいがい自民党支持だ。革新系陣営が「チラシを置いて下さい」などと頼むとケンもホロロに断られる。ところが今回の選挙で「(デニーさんの)チラシいいですかね?」と言うと「ああ、いいよ」と喜んで引き受けてくれるという。
中には50枚置こうとすると「100枚置いていってよ」という商店主もいたそうだ。
大ベテランの彼が驚いたのか。「龍作さん、自民党の締め付けは効いてないねえ」と、息をはずませて電話をかけてきたほどだ。
大ベテランが読むように、今のところ自民得意の『締め付け』は思ったほど効いていない。地元放送局による期日前投票の出口調査がそれを示す。自公が得意のはずの期日前投票で佐喜眞と玉城がほぼ互角なのだ。
在京の大手報道機関が地元メディアと共に実施した世論調査では玉城がリード。
興味深いのは「絶対に投票に行く」と回答した人のうち圧倒的多数が「玉城に入れる」と答えたことだ。この層にストライクを投げ込めば、玉城に勝機は開ける。
ただ玉城には不安材料がある。選対がどうしようもないことだ。ひと昔前のお役所仕事なのだ。工夫のクの字もない選対が、「絶対に投票に行く」という層をつかむことができるだろうか。極めて疑問だ。永田町では温厚で鳴る仏のような議員秘書氏は、選対のチグハグな指示に激怒した。
電話対応のあまりの酷さに田中は「アナタたちはデニーさんを通す(当選させる)つもりがあるのか?」とドヤし付けた。
佐喜眞の場合、アキレス腱は佐喜眞本人だ。前回の宜野湾市長選挙で「ディズニーランドの誘致」を掲げた佐喜眞は、今回の県知事選で「プロ野球を持ってくる」と言い出した。マイクを握って本当に自身で叫んでいるのだ。
「脳みそ筋肉」で「口から出まかせ」の佐喜眞に愛想を尽かす地元議員は少なくない。党本部が締め付ける時、手足となるのが地方議員だが、彼らが本気で仕事をしていないのだ。当然締め付けは効かなくなる。
「3日攻防」と言われる最後の追い込みに入った時に、キッチリとプロの仕事をする部隊が両陣営にどれだけ残っているか。当落のカギを握るだろう。
投票日まであと6日。何が起きても不思議ではない。勝敗はまだまだ分からない。(敬称略)
~終わり~
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玉城デニー候補が負ければ、安倍政権に異を唱え、楯突く勢力は日本からなくなります。とてつもなく重大な沖縄県知事選挙を、田中は最後まで見届けるために破産も覚悟で取材を続けています。
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