「土曜の(深)夜、さる筋から連絡がありましてね」・・・在京テレビ局の警視庁詰め記者が田中の電話取材に答えた。
国は日曜(21日)未明、経産省前にあった脱原発テントを強制撤去した。「外に出たらガードマンとマスコミ(各社)がいた」。テントの宿直者が語るように警察と東京地裁(の執行官)は大メディアを引き連れて来た。
冒頭の証言が示すように大メディア(NHKも含めてほぼ全社)は当局からのリークを受けてテント前に来たのだ。
テントの立ち退きを求める判決が確定した際に開かれた記者会見の後、大メディアの記者たちはテントの住人に「強制撤去があった時は教えて下さい」と言って名刺を渡していた。
テント側は律儀にも「メディアの連絡先一覧表」を作り、張り出していた。
ところが先に強制撤去を知った大メディアは、テント側には知らせなかった。テント側は裏切られたのである。
強制撤去ばかりでない。テント住人の学生時代の活動歴が新聞で報じられることがあった。当該住人が「どう考えても公安から出た情報ではないか」と新聞記者たちに怒りをぶつけていた。
警察や司法が強権を発動する際は、必ずと言ってよいほど記者クラブにリークがある。都合のいいように書かせるためだ。
沖縄の高江や辺野古が典型的だ。強制撤去など権力が大きな動きをする時は必ず大メディアがくる。住民らは「あっNHKがいる。きょうは必ず機動隊がやって来るぞ」と言ったりする。
7月22日、警察は機動隊500人を投入して、ヘリパッド建設予定地のゲートをふさいでいた街宣車の強制撤去を行った。
「報道(機関)は下がって、下がって」と警察から命じられると大メディアは本当に下がった。そして道路対岸に設けられた所定の位置から大人しく撮影した。
これでは機動隊による住民らへの凄まじい暴力などアップで写せるはずがない。かりに撮影できたとしても編集の段階でカットするだろうが。
7月23日付の東京新聞には街宣車上で機動隊から逆さ吊りにされ悲鳴をあげる基地建設反対の女性の写真が掲載されているが、撮影者は不明だ。
東京新聞は琉球新報と提携しているので、写真は琉球新報が撮影した可能性が高い。琉球新報のカメラマンが街宣車上に乗っていたのは田中も記憶している。
22日、沖縄・高江でヘリパッド建設に反対する住民らの座り込みを取材していた琉球新報の記者が一時拘束され、その後強制排除された。
21日には脱原発テント撤去の抗議集会を撮影したフリーカメラマンが逮捕された。
大メディアの記者、カメラマンが日本で取材中に逮捕されたなんて話は聞いたことがない。警察とオトモダチだからだ。そもそも彼らは住民側から撮影したりはしない。
もうそろそろ市民の側も、誰が味方で誰が権力の手先なのか、見極める目を持ったほうがいい。沖縄で起きていることは、本土でも起き始めている。
~終わり~
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