渋谷区が野宿者を締め出すねらいで26日朝から公園に施錠した。公園は1月3日まで9日間、一般の人も利用できなくなる。
施錠したのは宮下公園、神宮通公園、美竹公園。いずれも野宿者が炊き出しなどでよく利用する公園だ。
年末年始、生活保護の窓口は閉まり、食事にも事欠く。この期間中、野宿者たちは宮下公園で炊き出しをする予定だった。命をつなぐためだ。
宮下公園は分かりやすい場所にあるため、渋谷区外からも迷わずに たどり着く ことができる。食うや食わずの野宿者にとっては持ってこいの場所だ。
渋谷区はそこを使用禁止にするのだから、命の重みなど頭の片隅にもないのだろう。
渋谷区の桑原敏武区長は、新庁舎説明会(11月12日)の際、「公園は炊き出しをする場所ではない」と明言した。桑原区長の意向を受けた「水と緑・公園課」が強行策をとった。
野宿者と支援団体から抗議を受けた「水と緑・公園課」の吉武成寛課長は、野宿者締め出しの最大の理由を「炊き出しに火を使うため」と説明した。
吉武課長はイベントでのガスコンロ使用については「区が責任を持てるから」と答えた。野宿者は炊き出しで一度も火の不始末をしでかしたことはない。明らかに偏見である。
渋谷区は昨年末、宮下公園から野宿者を追いやった。野宿者たちは北隣の「神宮通公園」に移って食いつなぎ夜露をしのいだ。
今年は宮下公園に加えて、神宮通公園も美竹公園も野宿者が使えないようにしたのである。
年の瀬に弱者を締め出すとは人間の所業ではない。生活に困った者に救いの手を差し伸べるのが行政の仕事のはずだ。
世間にとって26日(金)はまだ平日だ。年末年始でもない。御用納めの日、役所の都合で施錠したのである。