「この冬、数百万人のウクライナ国民が命の危険にさらされる」。世界保健機構WHOが21日、記者会見して警告を発した。
WHOは最大の理由として停電をあげる。
ウクライナは電力施設の50%がロシア軍の爆撃で破壊され電力供給がままならない。首都キーウでは停電時間の方が通電時間よりも長い。
これから真冬を迎える。真昼間でも氷点下の日は当たり前のようにある。取材車のドライバーは「(最低気温が)氷点下25度を経験した」そうだ。
この先、さらに電力事情がひっ迫すれば、停電で暖を取れなくなった人々が凍死することも珍しくなくなるだろう。
停電時間が長引くと冷蔵庫の中の生モノが腐り始める。先日キーウ市内のある家庭を訪ねた。
家の主は次のように話した。
「電気が通るのは1日2回、2時間ずつ計4時間。その間にペットボトルで氷を作り、冷蔵庫の中の生モノを冷やす」。
「停電が1日24時間になったらキーウを出て行かざるを得ない」。
冷蔵庫なしでも貯蔵がきく食べ物にジャガイモがあるが、茹でるか、蒸すか、フライにしなくてはならない。これも電力かガスが要る。ガスも危うい。
クリチコ市長はドイツ紙のインタビューに「第2次世界大戦以降最悪の冬となる。市民は最悪の事態に備えてほしい」と語った。
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