派閥の実力者による談合で菅首相の誕生が確実視されている。きょうは次の次を目指す石破茂元幹事長と岸田文雄政調会長が名乗りをあげた。
安倍独裁に公然と異を唱えてきた石破元幹事長は、総裁選を戦うキャッチフレーズに「納得と共感」を掲げる。
田中は「森・加計・桜の再調査はどうしますか?」と質問した。
石破氏は「政治がなんか誤魔化してるんじゃないの、ウソを言ってるんじゃないの、そういう思いがある限り、納得にも共感にもなりません。政権に入ったのちに、何がどういう問題であるのかということの解明をし、必要ならば当然やるということです」。一つ一つの言葉を噛み締めるように語った。
冒頭の決意表明でも石破氏は、次のように述べて言外に安倍政治の清算を掲げた―
「我が党は勇気をもって真実を語る、政府を謙虚に機能させる、国会を正常に運営させる政党であらねばならない」。
「国民の声を聞く」岸田氏 会見終了後も記者の質問に答える
政権の禅譲を戦略に描いてきた岸田政調会長は、石破氏とは対照的だった。
田中は「森・加計・桜の再調査」について岸田氏に同じ質問をぶつけた。
岸田氏は「中にいたわけではないので、ムニャムニャムニャ」としたうえで「話は聞く」。
つまり再調査する気持ちはないということである。
閣外ではあるが政調会長として安倍政権を中枢で支えていたのは誰ですかね? と田中は問い直したい気持ちで一杯になった。
質疑応答に先立つ決意表明で岸田氏は「国民の声を聞く政治を目指す」とした。
確かに岸田氏はどこかの野党第一党の代表と違って記者の質問を真っ向から受け止めて、一生懸命に答える。たとえそれが長めになったとしても。
「国民の声を聞く」とした岸田氏の姿勢に二言はない、と感心させられる場面があった。
司会者の根本匠事務総長が「これで記者会見を終わります」と告げたにもかかわらず、フリー記者の横田一氏が質問したのだ。
小池都知事や枝野立憲代表であれば、そそくさと立ち去って行く。対話の精神がない政治家はそうする。
だが岸田氏は記者会見が終了しても質問に答えた。しかもあの横田氏の質問である。氏は小池都知事の「排除発言」を引き出したことで知られる。政治家にとって要注意人物である。
横田氏は納得が行かなければ果てしなく食い下がる。
岸田氏はやや長めに、そして丁寧に答えた。横田氏は大人しく引き下がる他なかった。
石破氏、岸田氏のどちらがトップリーダーとなっても、安倍‐菅ラインより良質の政治をするだろう。次の次を待つ他ない。
~終わり~