始まる前から勝負がついている自民党総裁選。きょう2日は当選確実の菅義偉官房長官が出馬を正式表明した。
菅氏の出馬表明は夕方5時から衆院第2会館で行われた。
次期首相のお出ましとあって警察の警備がものものしい。SPに「総理シフトですか?」と聞くと、SPは「そうです」と苦笑いしながら答えた。
会場はメディアであふれた。100人をゆうに超えた。ビデオとスチールのカメラが放列を敷いた。
安倍首相の女房役を7年8か月務めた菅氏は「安倍政権の改革の歩みを決して止めるわけにはいきません」「アベノミクスをしっかり引き継いで前に進めて行きたい」として安倍政治の継続を訴えた。
予想していたこととはいえ絶望を覚えた。それは記者との質疑応答でさらに深まった。
TBSの女性キャスターが森・加計・桜の再調査について質問した。
菅氏は「森友問題については財務省関係の処分が行われ、検察の捜査も行われて、すでに結論が出ていることでありますから、そこについては現在のままであります」
「加計についても法令にのっとりオープンなプロセスで検討が進められたと思っています」
「桜を見る会については国会で様々なご指摘があり、今年は中止をしてこれからの在り方を全面的に見直すことといたしております」。
3件とも再調査はしないという表明だった。
記者クラブにしては毎日新聞が意地を見せた―「菅総理として目指す政治というのは、安倍政権の政治の単なる延長なんでしょうか?違うのであれば何がどのように違うのか国民に分かりやすく説明して頂けますか?」と。
菅氏は「コロナ対策を最優先でやってゆく」としたうえで「私が取り組んできた役所の縦割りをぶち破る」と述べた。内閣人事局は残すということである。
安倍政治の負の遺産を引き継ぐと宣言したようなものだった。
菅氏の記者会見が終わったのが午後5時40分頃。直後から隣の衆院第1会館で、菅氏を推す自民党3大派閥のボスたちが記者会見を行った。手回しの良さに談合政治を感じずにはいられなかった。
細田派(98人)、麻生派(54人)、竹下派(54人)の領袖たちは、口々に安倍政治の継承を訴えた。
7年8ヵ月にわたって築かれてきた利権構図を壊したくないということだ。利権の温存に最も適任だったのが菅官房長官だったのである。
~終わり~