「延長するならもっと補償しろ」 これは棄民だ

田中が「(お腹に書いた)一殺とは安倍首相のことですか?」と尋ねると、彼女は「それは怖くて言えませんね」。=5日夕、高円寺 撮影:小杉碧海= 

 アベ首相が非常事態宣言の延長を発表すると、失業者や学生たちが早速反応した。

 「延長するならもっと補償しろ」と訴えて街頭に繰り出したのである。

 10万円で2ヵ月どうやって生きてゆけというのか?

 「(安倍政権は)オマエら死にたければ死ねと言ってるに等しい、これは棄民ですね」。デモを呼びかけたヒミコさんは吐き捨てるように言った。   

 彼女は失業中の元キャバ嬢だ。二の腕に大きく「棄民」と書いてデモ行進した。

 デモはこれまで渋谷区の麻生邸と安倍邸に向けて掛けていたが、きょうは高円寺となった。

 自粛警察と呼ばれる権力の手先が、営業中の飲食店に嫌がらせをかける事件も起きている街だ。

デモ隊は十分なソーシャルディスタンスを確保しながら夕暮れの街を練り歩いた。参加者は回を追うごとに増えている。=5日夕、高円寺 撮影:小杉碧海=

 首相は昨夕の記者会見でプロンプターを読みながら「家賃支援、雇用助成金の拡充、学生のアルバイト支援につきましては、与党で検討して追加措置を講じていきます」と述べた。

 あくまでも『検討』だ。補償については一言も言及しなかった。

 3月末で雇止めとなった女性は、毎日2時間かけて高円寺と南阿佐ヶ谷の間を歩いて往復しながら仕事を探す。彼女も「棄民を強く感じる」という。

 「(安倍政権は)補償する気もない。補償がなければ死ぬしかないのに、カネのない奴は死ねと言うことか」

 「私らが税金をずっと払ってきたのに何も返してくれない。補償のニュースになると、テレビのスイッチを切る」。彼女は畳みかけた。

 前出のヒミコさんは「税金は封建時代の年貢と同じ。返せと言いたい。いざという時に払ってくれない政府なら革命(を起こす)しかない」。

 日本人の国民性からして革命は起きないだろう。このまま行けば暗黒の独裁国家か。この国は危うい状態にある。

「棄民」「一殺」のボディペインティング。彼女をここまで追い詰めたものは何か。=5日夕、高円寺 撮影:小杉碧海=

   ~終わり~
 
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