新年初日の1月1日、香港で大規模デモがあった。主催者発表で103万人が参加した。
BBCによると約400人が警察に逮捕された。SNS上の映像で確認する限り、通りがかりの市民も大量拘束されたりしている。機動隊に殴られて気を失った人が路上を引きずられて行く。民主派の立法会議員(日本の国会議員に相当)がゴーグルをはずされてペッパースプレーをかけられていた。
暗黒が支配する警察国家の予告編だ。メディアの自由がかろうじて残っている香港からそれが伝わってくる。
不思議で いびつ なのが日本のメディアと政治家だ。
人権派をもって任じ、進歩的であるかのように装ってきた全国紙が、香港警察の発表を垂れ流す。マスコミは武力で圧倒的に勝る機動隊の残虐行為を「衝突」と表記し、デモ隊を「暴徒」と呼ぶ。
これまでの いきさつ を踏まえれば、デモ隊を暴徒と呼ぶには無理がある。
今回の反政府デモの前段にあたる雨傘運動(2014年)の際、政府が呼びかけた話し合いに応じた民主派のリーダー達は逮捕されているのだ。違法集会を扇動したなどと いいがかり をつけられて。暴徒は香港警察であり香港政府なのである。
ヘイトをはじめとする人権問題に抗議の声をあげる日本の政治家たちは、相手が中国だと口をつぐむ。
一方、日章旗を振りかざして「安倍ちゃん頑張れ」を叫ぶ人々が、香港の人権状況を憂慮する。彼らと自民党右派の一部政治家は、習近平を国賓として招くことに公然と異議を唱える。
香港警察による市民への弾圧を見れば、最高権力者の習近平は、ハーグの国際刑事裁判所(ICC)で裁かれて当然の人物なのである。
香港の惨状に左派知識人や野党政治家(共産党のぞく)はダンマリを決め込み、日頃、人権なんてどこ吹く風の右派が香港を憂う。
不幸な ねじれ はいつまで続くのだろうか。
~終わり~