奇策 保釈中のゴーン逮捕で消し飛んだ「安倍‐麻生道路」

弘中弁護士は「考えられない」を連発し激しく憤った。=4日午後、日本外国特派員協会 撮影:田中龍作=

弘中弁護士は「考えられない」を連発し激しく憤った。=4日午後、日本外国特派員協会 撮影:田中龍作=

 「私が忖度した」。塚田一郎国交副大臣の問題発言で、にわかに疑惑が浮上することになった「下関‐北九州道路」。地元では「安倍‐麻生道路」と呼ばれる代物で、第2の関門橋あるいは第2の関門トンネルを目指す。

 きょう野党が合同で国交省と総務省から事情を聴いた。九州出身の野党議員が予想通行量を尋ねると国交省は「手元に資料がない」として回答を避けた。かりにあったとしても、数字は安倍政権お得意のデッチ上げだろう。「安倍‐麻生道路」は、莫大な予算をつぎ込む壮大な無駄遣いとなりそうなのだ。

 統一地方選挙たけなわ。政権を直撃しかねない問題から国民の目をそむけたい官邸は奇策に打って出た。保釈中のカルロス・ゴーン元日産CEOの身柄を地検特捜部に獲らせたのである。4度目の逮捕だ。追起訴はよくあるが、いったん保釈された被告が逮捕されるのは極めて異例だ。

 ゴーン被告の主任弁護人である弘中惇一郎弁護士がきょう午後、日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見をひらいた。弘中弁護士は強い口調で検察のやり口を批判した。

 「ゴーン被告は罪証隠滅、逃亡の恐れがないとして裁判所が保釈を認めた。逮捕には合理性も必要性もない。文明国ではありえない。海外では許されることなのかを踏まえて報道してほしい」。

 弘中弁護士は検察がゴーン氏の妻の携帯電話やパスポートを押収したことも明らかにした。

記者会見場は内外のメディアで溢れかえった。ドイツの通信社記者は「スピン効果満点だね」とシニカルな笑みを浮かべた。=4日午後、日本外国特派員協会 撮影:田中龍作=

記者会見場は内外のメディアで溢れかえった。ドイツの通信社記者は「スピン効果満点だね」とシニカルな笑みを浮かべた。=4日午後、日本外国特派員協会 撮影:田中龍作=

 ゴーン氏は自らのツイッターで「11日に記者会見を開く」と明らかにしていた。マスコミは「保釈要件にインターネットの使用禁止がある」として、あたかもゴーン氏のツイートに問題があったかのように報道していた。

 だが弘中弁護士は「インターネットの使用禁止とは理解していない」と明言した。

 呆れた検察の広報を務めるのがマスコミだ。

 あるテレビ局はゴーン氏を乗せた車両が自宅から出るところから東京地検に入るまでを伴走し、ライブ中継した。テレビ各局のキャスターは、ゴーン氏を載せた車両が出発すると、地検の逮捕容疑を読み上げた。各局同じ内容だ。大ぶりのパネルに事件を図解していた。

 ライブ中継やパネル製作は前日から用意していなくてはできるものではない。明らかに地検のリークである。

 今週末をゴーン逮捕で乗り切れば、「安倍‐麻生道路」なんて国民は気が付かないまま終わってしまうさ・・・官邸の主の高笑いが聞こえるようだ。

東京地検のリークに沿ってリポートする女性記者。国策捜査への疑問は欠片もない。=4日朝、検察庁前 撮影:田中龍作=

東京地検のリークに沿ってリポートする女性記者。国策捜査への疑問は欠片もない。=4日朝、検察庁前 撮影:田中龍作=

  ~終わり~

   ◇
権力監視が『田中龍作ジャーナル』の役目です。ご支援何とぞ宜しくお願い致します…

田中龍作の取材活動支援基金

■郵便局から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
記号/10180 番号/62056751

■郵便振替口座

口座記号番号/00170‐0‐306911

■銀行から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
店名/ゼロイチハチ・0一八(「ゆうちょ銀行」→「支店名」を読み出して『セ』を打って下さい)
店番/018 預金種目/普通預金 口座番号/6205675 口座名/『田中龍作の取材活動支援基金』

■ご足労をおかけしない為に

ゆうちょ銀行間で口座引き落としができます。一度窓口でお手続きして頂ければ、ATMに並んで頂く手間が省けます。印鑑と通帳をお持ち下さい。
記号/10180 番号/62056751 口座名/タナカリュウサクノシュザイカツドウシエンキキン

連絡先
tanakaryusaku@gmail.com
twitter.com/tanakaryusaku

ジャーナリズム