オール沖縄候補と自公候補の一騎打ちとなった沖縄県知事選挙と同じ構図の那覇市長選挙は、きょう投開票が行われ、オール沖縄が推す城間みきこ候補が当選を確実にした。
午後8時、投票箱のフタが閉まると同時に、慎重なNHKが当選確実を速報した。「ゼロ打ち」である。自公候補(※)に大差をつけるものと見られる。(※正確には自、公、維新、希望推薦)
沖縄県知事選挙は創価学会が雪崩を打って玉城デニー氏を応援したが、那覇市長選挙はそれが深化したような選挙だった。
「こんな気持ちのいい選挙はなかった。初めて自分の頭で考えて投票した。これまでは(学会から)言われるままに投票してたからね」・・・学会員歴40年を超える男性(那覇市在住)が県知事選挙を振り返って語った。清々しく嬉しそうな表情は、過酷な縛りから解き放たれたことを示していた。
男性は白髪頭だ。学会は彼がこの年になるまで自由に投票させなかったのである。選挙期間中、彼は表に出るようなことはしなかった。「出れば潰される」と警戒していた。
一方、「自分は学会員」とカミングアウトしてオール沖縄の選挙を手伝った人たちもいた。30代の女性は「玉城デニー」のパンフを配布して歩いた。中高年女性は2人一組で商店などを訪問し「今度の選挙はデニーに入れて下さい」と頼んで回った。
那覇市長選挙の告示直前には、本土の方面本部と沖縄総県から「選挙はやらなくていい」との お達し が出た。沖縄における学会の自民党離れは決定的になった。
那覇市長選挙の最終日となった20日夕、城間候補の打ち上げ(最終街頭大演説)が新都心であり、3千人を超す聴衆が集まった。ある学会員の姿があった。100票は差配できる人物だが、創価学会の3色旗を掲げたりはしない。穏やかな表情でオール沖縄の演説に耳を傾けていた。
演説会が終わった直後だった。城間陣営の大幹部が学会員のもとを訪れ、「今回もお世話になります」と手を差し出したのだ。大幹部は玉城選対の重鎮でもあった。
県知事選挙の地滑り的勝利は、学会の“協力”なくしてはありえなかった。“協力体制”がそのまま那覇市長選挙に引き継がれたことを示す場面だった。オール沖縄の一角には学会とは不倶戴天の共産党がいるのにもかかわらず、だ。
学会員は「(学会票の)50%が城間に来るよ」とニンマリ笑った。
自民党は満を持して県連の実力者を那覇市長選挙に送り出した。だが、集票マシーンの学会は全く動かず、自公は早々と総崩れになった。拙ジャーナル(17日付/14日付 /11日付)でリポートしているので御一読頂きたい。
冒頭の学会員は「(来夏の)参院選挙も自民党には入れない(投票しない)」ときっぱり言う。沖縄の自公体制崩壊が本土に教えてくれることは-
学会を味方につけること。安倍自民に対する学会員の怒りのマグマは本土でも沸々とたぎる。安倍政権を倒すため、恩讐を越えて共闘できる統一テーマを掲げれば、学会員の多くは野党側に投票するはずだ。
城間陣営は「辺野古の新基地建設反対」を訴え続けた。那覇市長の権限とは関係なくても学会員をはじめとする有権者の心に響いたのである。
人間性を回復した学会員の共感を得るテーマで参院選を戦えば、安倍政権は音を立てて崩れる。
~終わり~
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