新国立過労自殺 大成に抗議「五輪工事で死ぬって分かってた」

呼びかけ人の男性(右端)は悔しさを噛み締めるようにしてゲート前に立ちつくした。=8日夕、新国立建設現場 撮影:筆者=

呼びかけ人の男性(右端)は悔しさを噛み締めるようにしてゲート前に立ちつくした。=8日夕、新国立建設現場 撮影:筆者=

 新国立競技場の建設工事に下請けとして携わっていた男性(23歳)が3月に過労自殺した事件 -

 「オリンピック関連工事で誰か死ぬって私には分かってたわけだから」・・・同業者の男性が今夕、新国立競技場前で元請けの大成建設に対して抗議のスタンディングをした。それも建設作業員らが出入りするゲート前で。

 新国立競技場は設計のやり直しで着工が予定より一年遅れた。2020年の開催に間に合わせるため現場は強行軍を強いられていた。

 自殺した男性は新人の現場監督で前月の残業時間が200時間を超えていたとされる。遺族は労災申請をした。

「僕ら職人は先に帰れるけど、大成(建設)の現場監督はまだ残っていますよ」。とび職の男性は言葉を残して職場をあとにした。=8日夕、新国立建設現場 撮影:筆者=

「僕ら職人は先に帰れるけど、大成(建設)の現場監督はまだ残っていますよ」。とび職の男性は言葉を残して職場をあとにした。=8日夕、新国立建設現場 撮影:筆者=

 スタンディングを呼びかけた建設作業員のハンドルネームsweeeepさん(40代男性)は、同業者として現場の事情を知るだけに憤りも深い。淡々とした口調が逆に怒りを感じさせた。

 「(新国立の建設は)ケツが決まっていてすごいストレスフル。今までの経験から、突貫工事の現場ってあるんですよね。責任感強い若い監督は上からいじめられ、下の職人からプレッシャー。そういう人は逃げられなくなる。会社と現場の板ばさみになってハード。睡眠時間が取れなくなるだろうし。

 現場の仕事してると“あの現場監督が自殺した”という話を聞く。サブコン(2次下請)の監督は大成からいじめられる。弱い立場の人が死にやすい」。

 「大成は元請責任を・・・」と書いたプラカードを持つ男性(40代)は労働組合関係者だ。言葉をかみしめるように話した。

 「計画した者の責任がある。国策のオリンピック工事だから、(国や都も)きちっと行政指導すべきだ」。

 今回の事件に対する抗議行動はこれが初めてだ。マスコミはオリパラ組織委員会に入っているため“真犯人”の追及をしない。

 きょう取材に来ていたメディアは『赤旗』と『田中龍作ジャーナル』だけだった。

小雨のなか行われた抗議行動。つかのま の晴れ間に虹がかかった。自殺した若い現場監督を供養するかのようだった。=8日夕、新国立建設現場 撮影:筆者=

小雨のなか行われた抗議行動。つかのま の晴れ間に虹がかかった。自殺した若い現場監督を供養するかのようだった。=8日夕、新国立建設現場 撮影:筆者=

 〜終わり~

田中龍作の取材活動支援基金

■郵便局から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
記号/10180 番号/62056751

■郵便振替口座

口座記号番号/00170‐0‐306911

■銀行から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
店名/ゼロイチハチ・0一八(「ゆうちょ銀行」→「支店名」を読み出して『セ』を打って下さい)
店番/018 預金種目/普通預金 口座番号/6205675 口座名/『田中龍作の取材活動支援基金』

■ご足労をおかけしない為に

ゆうちょ銀行間で口座引き落としができます。一度窓口でお手続きして頂ければ、ATMに並んで頂く手間が省けます。印鑑と通帳をお持ち下さい。
記号/10180 番号/62056751 口座名/タナカリュウサクノシュザイカツドウシエンキキン

連絡先
tanakaryusaku@gmail.com
twitter.com/tanakaryusaku

オリンピック