和歌山の野党統一候補は弁護士の由良登信氏(ゆら・たかのぶ 共産、社民、生活推薦=64歳)だ。生活保護裁判や労働問題などを手がけてきた。「反貧困ネットワークわかやま」の代表でもある。
弱者切り捨てのアベ政治に抗して立ち上がった由良弁護士の第一声を伝える必要がある・・・田中はその一念で、保守王国・和歌山を公示日の取材地に選んだ。
けさ南海・和歌山市駅前で開かれた由良候補の出陣式には、生活保護裁判の原告(和歌山市内・男性70代)の姿があった。
「裁判だけではどうしようもない(※)。根本(政治)から変えないといけない」。男性は由良候補を国政に送り出そうとする理由を語った。(※生活保護裁判は原告敗訴が続いてきた)
由良候補は支援者たちを前に第一声をあげた。
「大学の授業料がすごく高い・・・(奨学金の返済金を)払えない若者が次々と法廷の被告席に立たされているのを見た。奨学金の返済が始まると子供を作るのがすごく不安だという声も聞く。
多重債務の背景にあるのは低賃金と非正規雇用だ。非正規雇用を一時的なものに限定する政策を採りたい。残業時間を規制し、人間らしく生活できるルールを作って行きたい」。
与党候補は自民党参院政審会長の鶴保庸介氏(49歳)。選挙後の入閣が取り沙汰されている。
NHK日曜討論(5日放送)で野党議員を睥睨(へいげい)している顔写真がネット上をかけめぐり、トレンド入りした。「上から目線」が不評を買ったのである。
きょう正午過ぎ、和歌山県庁庁舎前に職員がズラリと並んだ。スーツ姿の自民党県議団(総勢は30人)も政権政党の参院政審会長を出迎えた。
「天皇陛下が来たら、これだけ集まるかなあ」。軽口を飛ばす県議会議員もいた。これから権力の階段を上って行く国会議員に対する地元の期待だろう。
ある会派の代表は「鶴保さんは次は大臣です」と声を張り上げた。
和歌山市役所前でも尾花正啓市長はじめ市議会議員、職員が出迎えた。
若者、老人、障がい者、生活保護受給者が駆けつけてくる由良候補の出陣式と違い、鶴保氏を出迎えるのは権力の一翼を担う人々だった。
6年前民主党候補として鶴保氏と戦い12万票もの差をつけられた島久美子氏が次のように語った。
「当時自分がアリで相手がゾウだと感じた。由良さんはアリです。アリが塊となってゾウを足の裏からひっくり返そう」。
塊となったアリが象を倒す戦いが日本中で始まった。
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