6日、新宿で学生と学者が開いた「戦争法案反対集会」は、参加者の数こそ30日の国会前より少なかったが、怒りのボルテージはさらに高まっていた。
参加者の数を大づかみするため、田中は会場の最後尾まで歩いた。
そこに人だかりができていた。主催者とは別のコールが聞こえてくるではないか。
「アベ ヤメロ」 「タイップ(エルドアン=トルコ大統領)ヤメロ」「戦争スルトコウナルンデス」…片言の日本語で叫んでいるのはクルド人青年だった。
トルコの海岸に死体となって漂着したシリア難民の子供の写真を掲げている。子供は青年と同じクルド民族だ。
トルコのエルドアン政権はクルド民族に苛烈な弾圧をしてきた。今回もシリアのクルド民族に空爆を断続的に実行している。エルドアン政権もまたシリア難民を生み出す加害者なのである。
「憲法知らない総理は要らない」「戦争法案、絶対反対」・・・地響きのようなコールは、一昨年にあったトルコの反政府暴動を思い起こさせた。暴動の原因はエルドアン独裁政権への凄まじいまでの怒りだった。
タイップ・エルドアンとアベシンゾーは原発が取り持つ仲良しである。独裁者同士相通じるのだろう。
トルコは逮捕拘束されているジャーナリストの数が世界最多の国だ。アベの報道弾圧は、トルコに見習ったのだろうか。
国是である政教分離の大原則をぶち壊そうとしているのがタイップ・エルドアンなら、平和憲法を破壊しようとしているのがアベシンゾーだ。
日本の若者とクルド青年は危機感を共有できるのだ。
世界一の好戦国と共に軍事行動すると、日本も加害者となる。難民男児のような悲劇を生み出すのに、日本が手を貸すことになるのだ。
雨が降りしきり、新宿ホコ天一面に傘の花が咲いていた。時折、大粒となっても参加者は微動だにしなかった。
~終わり~
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