同じ悪夢が繰り返されそうだ。ウクライナ紛争はミンスク合意を受けて15日、停戦が発効した。
だが昨年秋のミンスク合意同様、停戦は厳守されず、散発的な戦闘から本格戦闘へと発展する恐れがある。
米国びいきのポロシェンコ大統領が、停戦条件と和平条件に不満を持っているからだ。
東欧駐在が長かった西側軍事筋は次のように明かす―
「▼今回のミンスク合意で示された停戦ラインは、昨秋示された停戦ラインよりも、親露勢力が押し出ている。キエフ側は押し込まれている ▼ロシア側が望む連邦制をポロシェンコ大統領は認めたくない」。
同大統領がドンバス地方(ルガンスク州、ドネツク州)をロシアにくれてやれば、戦争は終わるのだが、そうはいかない。
昨年11月、筆者がキエフからリポートしたように、これは米国のための戦争なのだ。
11月19日、「ユーロマイダンから1年」と題するシンポジウムがキエフのヒルトンホテルで開かれた。
マイダンのさなか、ヤヌコビッチ大統領追放後の閣僚人事を米国務省と協議していたジェフェリー・パイアット米国大使らの顔があった。
前駐ヨーロッパ米軍総司令官のマーク・ハートリング氏が本音を漏らした―
「ウクライナの国防予算は断食ダイエットだ。GDPの0.8%しかない。軍隊を改造するのに一番いいタイミングは戦時下だ」。
総司令官は軍備増強を迫ったのである。
ポロシェンコ大統領はホワイトハウスそっくりの邸宅を建てるほどの米国びいきだ。米国の傀儡と言った方が正確だろう。
ロシアの影響力が濃い影を落とす連邦制を敷かれるよりも、米国が関与し続けてくれた方が、ポロシェンコ大統領の地位は安泰なのだ。
米国も兵器を売れる。ポロシェンコ大統領にとっても、米国にとっても、ウクライナ戦争は続いた方が好都合なのだ。