中国全人代が押し付けてきた選挙制度の改変に反対する香港の民主派が、ビジネス街や官庁街を占拠するデモは、30日で5日目に入った。
夜の帳が降りると、仕事を終え夕食を済ませた人々が続々とデモに加わる。民主派が占拠する大通りは、見渡す限り人となる。占拠は3カ所で行われているが、全会場を合わせると参加者の数はゆうに10万人を超えるだろう。
最大会場は金鐘(アドミラルティ)と呼ばれる地区だ。金融機関や政府関係の庁舎が集中する。その中心にあるのが中国人民解放軍・駐香港部隊の基地だ。
超高層ビルの基地は「香港監視センター」と呼ばれ、天安門事件(1989年)の時にはまだ生まれていなかった学生たちにも恐れられている。基地は占拠会場を見下ろすようにして立つ。大型の監視カメラは会場を向いたままだ。
50代の男性(ビジネスマン)は「若者たちを守るために来た。天安門事件の再現が心配になるからね。誰しも銃弾は怖いよ」と話す。
28日、デモ隊に向けて催涙弾87発を放った警察は、翌29日から表に出て来ない。
制服を着たまま参加した女子高校生3人がいた。そのうちの一人は「警察がデモ隊に向けてまた催涙弾を放つのではないかと心配している」と顔を曇らせた。
人民解放軍・駐香港部隊の基地横には、警察車両が整然と並んでいた。香港行政のトップである梁振英・行政長官は「違法状態は許されない」として占拠を認めない構えだ。
警察が全力を投入してデモ隊を鎮圧するのか。鎮圧できなければ中国人民解放軍の出番となるのか。
地元ジャーナリストは「嵐の前の静けさ」と警戒する。