山本議員・全国遊説 「もっと悪くなるのが見える」

山本太郎議員。「政治の現実を一人でも多くの人に伝えたい」と今年も全国キャラバンを続けている。=15日、川崎駅前 写真:筆者=

山本太郎議員。「政治の現実を一人でも多くの人に伝えたい」と今年も全国キャラバンを続けている。=15日、川崎駅前 写真:筆者=

 「大企業への減税で国の収入が減った分、穴埋めであなた方が むしり 取られる……」

 全国を歩きながら庶民に犠牲を強いる政治の現実を訴えているのは、山本太郎参院議員だ。8月下旬に東京をスタートした「全国キャラバン」は、秋の臨時国会が始まる(9月29日)直前まで、北海道から沖縄までを回る。

 『田中龍作ジャーナル』が一人の国会議員の遊説をわざわざ取り上げたのには理由がある。

 山本議員は昨年秋の全国キャラバンで特定秘密保護法案の危険性を訴えた。マスコミも他の政治家も同法案を問題視していなかった頃だ。

 危険性に気づいたマスコミが騒ぎ始めたのは、国会に上程される直前になってから。遅きに失したのである。

 国連人権高等弁務官が「人権上問題あり」と指摘するほどの悪法は、年末に強行採決されてしまった。

 説明が長くなったが、山本議員の先見性には、注目する必要がある。このサイトで取り上げる理由だ。

 今回のキャラバンで、山本議員は「雇用」「貧困」「集団的自衛権」「原発」などの問題を訴えている。15日、横浜駅と川崎駅頭で行われた演説を取材した(太字が山本議員)―

 「(世の中)もっと悪くなるのが、参議院の最前列に座っていて見える…」。山本議員は“予見”する。

「他の政治家と違って、話が硬くなくて分かりやすい」。聴衆の感想だ。=15日、川崎駅 写真:筆者=

「他の政治家と違って、話が硬くなくて分かりやすい」。聴衆の感想だ。=15日、川崎駅 写真:筆者=

 昨年夏に引き下げられた生活保護基準に安倍政権の企みが込められていたことを、山本議員は見抜いていた。

 最低賃金(※)は生活保護基準とリンクすることが法律で定められている(最低賃金法第9条3項)。

 生活保護基準を引き下げれば、最低賃金を上げる必要はなくなる。このための『生活保護不正受給バッシング』でもあった。

 「不正受給はわずか1・8% 。98%は正しく受給している。だが芸人を叩くことで、あたかも生活保護受給者の多くが不正受給をしているような印象を与えてしまった」。山本議員は真相を説く。

 企業の内部留保のために最低賃金が上がらないようにする。内部留保が1円でも多い方が株価の好材料となるからだ。そのための生活保護基準の引き下げでもあった。(膨らむ社会保障費の削減という名目もあるが)。

 「アベノミクスで雇用が増えたというのはウソだ。正規社員が減り不安定な非正規社員が増えただけだ」。データを挙げながら山本議員は話した。

 「政治の世界では正規も首を斬れるようにしようとしている」と重ねて強調した。

 横浜、川崎駅頭で足を止めた人々は1時間20分ものスピーチを身じろぎひとつせず、耳を傾けた。

 「政治に興味はなかったけど、話が分かりやすかった。今は正規社員だけど、この先どうなるか分からない。いつ自分が非正規になるかと思うと不安。アベノミクスで豊かになんかなっていない」。川崎市内に住む女性(30代)は不安な表情で話した。

 「政治を入れ替えるしか方法がない。来春の統一地方選挙で地域のリーダーを自分で決めましょう。横につながりましょう」。山本議員はスピーチを締めくくった。

 ◇
(※)
最低賃金は全国平均で16円上がったが、物価上昇分には見合っていない。

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