イスラエルとパレスチナ双方は13日、「5日間の停戦延長」で合意した。だが恒久停戦に向けての両者の隔たりはなお大きい。ハマス政治部門・高官が「武装抵抗を止める条件」を語る―
記者:ハマスはオスロ合意(※)を認めていない。PLO(パレスチナ解放機構)は認めている。この違いが大きいのではないか?(ハマスはイスラエルを承認する気も、和平を結ぶ気もないと受け止められている)
高官:ハマスは国を守るためにイスラエルに抵抗して闘う。
(逆質問):あなたたちに聞くが、65年前(イスラエル建国前)、この地は誰の持ち物だっただろうか?
我々はイスラエルの占領下にある。その我々がなぜイスラエルを承認しなければならないのか?
もしトルコがイタリアを占領して、イタリアの人々がトルコと戦ったらテロになるのか?
記者:ならない。
記者:もしイスラエルがガザの武装解除を求めたら?
高官:第一に武器を捨てて抵抗を止めるのは不可能だ。イスラエルの占領が止み、ガザが解放されれば、それは可能だ。
記者:国際社会がハマスを認めていない。ガザを再建しようにも、援助金がもらえないのではないか?
高官:第3国から支援金が来る。例えばカタールなどからだ。それで道路、病院などを再建している。
記者:イスラエルだけでなく国際世論もハマスに批判的だ。「ガザ市民を人間の盾にしている」「市民を犠牲にしている」とか言われているが?
高官:イスラエルがこのストーリーを使っている。世界のメディアもそれを受けて「ハマスは人民の中からロケットを撃っている」などと言う。それはガザの地理を知らないからだ。
ガザは(最北部の)ベイトハヌーンから(最南部の)ラファまで1ブロックだ。空白のない過密地帯に人々が へばり ついている。
イスラエルは「避難所の周りでハマスがロケットを発射した」というが、避難所の中にミサイルを撃ち込んでいるではないか。
イスラエルはいつもこのエクスキューズを使う。問題は世界のメディアがイスラエルのストーリーを採用することだ。これがイスラエルに 人を殺すこと の特権を与える。
~つづく~
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オスロ合意:
1993年にノルウェーの首都オスロで発表された中東和平プロセスの基本的枠組み。クリントン政権主導の下、PLOのアラファト議長とイスラエルのラビン首相の間で交わされた。イスラエルとPLOの相互承認、パレスチナの暫定自治と将来の地位交渉についての合意。イスラエル軍は占領地から撤退し、ガザとヨルダン川西岸で自治が開始されたが、95年にユダヤ人入植者の青年によってラビン首相が暗殺され、タカ派のネタニヤフ政権ができて以降、暗礁に乗り上げている。