日本のある大新聞が「ガザの避難者は20万人を超えた」と書いていた。これはあくまでもUNRWA(国連パレスチナ難民救済機関)の施設に避難している人たちの数である。(日本のマスコミはどこまで行っても役所の発表ベースだ)。
実際はこの倍である。UNRWAの施設に逃れて来ている人とほぼ同じ数の人が、親戚の家などに身を寄せているからだ。
ガザ全体で85ヵ所あるUNRWAの避難所に行かないのは、住環境のひどさだ。UNRWAが悪いと言っているのではない。
UNRWAが避難所にあてているのは、自らが運営する小学校なのだが、そこに収容能力をはるかに超えた避難者が押し寄せているのだ。
筆者は2日、イスラエルの猛攻にさらされたラファのUNRWA施設(小学校)を見てきた。狭い教室に80人以上が寝起きしている。まさに すし詰め 状態だった。
蒸し暑い。バスルームはない。プライバシーもない。家族8人と共に滞在する女性(60歳)は「精神的にまいる」と顔をしかめる。彼女の家は爆撃で破壊された。
親戚の家とて楽ではない。電気は止まっているし、調理用プロパンガスも欠乏している。水は断水しており、給水車頼みだ。
ラファのある家庭を訪ねた。親戚が押し寄せ、60人もが一軒の家で暮らす。大家族制度に慣れっこのパレスチナ人とはいえ、大変なストレスだ。
親戚の家が爆撃される恐れもある。国連の避難所(UNRWAの小学校)とて安全とは言えない。ベイトハヌーンとシャバーリヤの避難所は爆撃に遭い多数の死傷者を出した。
UNRWAによればガザの約4分の1にあたる46万人が避難中だ。家を失った人は6万人にのぼる。
東京23区の半分の面積しかないガザに爆弾が雨あられと降り注ぐ。安全な場所なぞない。
戦争を終わらせない限り人々の安らかな生活はないのである。