衆院第2会館地下2階、公明党政調会会議室。きょう午前10時から同党幹部が「集団的自衛権の行使容認」に慎重な議員たちの意見を聞いていた。
公明党の動向が閣議決定に大きく影響するとあって20人を超える記者クラブメディアの記者たちが、廊下に張り付いていた。
途中退席する公明党議員に記者たちはぶら下がった。中の事情を知るためだ。筆者とフリージャーナリストの横田一氏も同様にぶら下がった。
公明党の会議室前に来て10分も経っただろうか。衛視(国会職員)が現れ、筆者と横田氏に「ここはダメですよ」と告げた。
なぜ2人だけを分別できたのだろうか。普段から筆者をはじめフリーランスを快く思っていない某紙の記者が通報したのだろうか。
衛視は筆者に向かって「あなたはどこの誰ですか?」と本人特定をしようとした。もちろん拒否した。
だが、ここに留まるとどんな嫌がらせを受けるか分からない。筆者はそそくさと退館した。衛視は1階ロビーのゲートまでついてきた。
横田氏は現場近くのトイレに身を潜めて「排除の嵐」が過ぎるのを待っていたが、見つかった。
衛視の心象を悪くしたのか。横田氏は身分や入館の経緯を厳しく問われた。ガードマン(民間警備会社)も駆けつけた。
横田氏は議員会館から立ち去ろうとしたが、ガードマンが行く手を阻んだ。行かせろ、行かせない、の押し問答が続く。一瞬のスキをつき横田氏は遁走した。
ガードマンは逃げる横田氏を永田町駅まで追い駆けた。ガードマンは30歳前後、横田氏はどっぷり中年。しかも重いカバンを持つ。
歴然とした走力の差だが、横田氏はガードマンの手から逃れるために懸命に走った。ガードマンは永田町駅付近で横田氏を見失ったようだ。
別のガードマンに身柄を押さえられていたりはしないだろうか。筆者は心配になった。
15分ほど経っただろうか。横田氏から「何とか現場を離れた」と電話連絡があった。
新聞・テレビはあたかも公明党が党として自民党案に合意したかのように報道する。だが反対の議員は少なくないのが実情だ。支持母体の創価学会も難色を示す。
創価学会の猛反対に遭い公明党の太田昭宏・国土交通相が署名できなくなれば、閣議決定は難しくなる。公明党しだいの状況となっているのだ。
マスコミが伝えない公明党の動向を取材しようとしたフリー記者は排除された。
(拙ジャーナルでは横田氏の許可を得て実名報道に踏み切りました)
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永田町取材を精力的に続ける横田一氏は、集団的自衛権を容認する高村(自民党座長)私案の下書きをしたのが公明党の北側副代表だったことを日刊ゲンダイ紙上で批判した。このため公明党を出禁となっている。(週刊金曜日6月27日発売号に詳しい)