「戦争は最大最悪の環境破壊」と言われていたが、福島の事故以降、それに原発が加わるようになった。究極の人殺し兵器が原爆だから戦争も原発も根は同じだ。
昨日、きょうと代々木公園で開かれたアースデイの会場では「脱原発」「反基地」を静かに呼びかけるブースが目についた。
米軍基地建設の最大の犠牲者が沖縄の自然であることは言うまでもない。ヘリパッド建設が進む高江の山には野鳥ヤンバルクイナが、V字滑走路が計画されている辺野古の海にはジュゴンが生息する。
「ジュゴンやヤンバルクイナを守れ」と訴えるブースを、オバマ大統領が見たら何と思うだろうか。
「固定価格買い取り制度」がスタートしてから2年が経とうとしているが、自然エネルギーの普及は遅々として進まない。経産省にその気がないからだ。
買い取り価格は下がる一方なので、投資しても元を取るのに時間がかかる。投資意欲も減退する。42円/kw(2012年)→37円/kw(2013年)→32円(2014年)といった具合だ。
東京都内で市民発電に取り組む女性(30代)は「事業的に成り立ちにくい」とこぼした。
「市民電力連絡会」のブースでは太陽光で煮炊きする「ソーラークッカー」や「ソーラーパネル」などが展示されていた。これらが飛ぶように売れる時代が早く来てほしいと願うばかりだ。
「携帯ゴリラ」と名付けられたブースには驚かされた。コンゴ民主共和国では、携帯電話の電池に用いるレアメタルの採掘でゴリラの生息する森林が伐採、破壊されているのだそうだ。ゴリラが激減しているという。
自然を冒涜すれば人間は必ずシッペ返しを食う。宮崎駿監督は「となりのトトロ」「もののけ姫」などを通じて繰り返し訴えている。黒澤明の晩年の作品「夢」には、開発で切り倒された木の亡霊が人間を叱りつける場面が登場する。
チェルノブイリ原発事故は28年を経てもなお収束していない。原子炉を石棺で覆っていたが、核燃料からいまなお放出される放射線で傷んだため、新たな石棺を準備しているのだ。新しい石棺も30~40年後には「お釈迦」になるだろう。
福島第一原発から流れ出る放射性物質は、半永久的に海を汚染し続ける。海の幸を食する人間は被ばくを免れない。壮大なシッペ返しが始まったようだ。