読者の皆様。田中は本日(31日)、ウクライナを離れて帰国の途につきます。滞在が長引いたのはウクライナ軍の投降を見届けるためでした。
首都キエフの独立広場(マイダン)に来て驚いたのは、治安警察と戦っていた市民たちに日当3千円が支払われていたという話でした。失業率30%(※)とも言われるこの国で仕事のない人々が各地から集まり、石や火炎ビンを投げたのです。
金を出していたのは米国です。米国は自らに都合のよい政権を作る策動をオレンジ革命(04年)の頃から続けていました。フライヤーの作り方から抗議行動の起こし方まで指導していたのです。それはAmerican Projectと呼ばれています。
米国はロシアに後押しされるヤヌコビッチ政権(当時)を倒すのは容易でないと見ると、極右も利用しました。独立広場の戦いを指揮した極右組織「ライトセクター」には、アメリカからもロシアからも間接的に金が出ていた、と見る向きもあります。
独立広場の戦いが「自由と民主主義を守るためだった」という報道は西側のプロパガンダです。親露派のヤヌコビッチ政権を倒して自分たちに都合のよい政権を打ち立てたかっただけです。プロパガンダに一役買ったのが欧米や日本のマスコミでした。
American Projectの仕上げは5月の大統領選挙です。欧米にとって好都合なティモシェンコ元首相の当選が確実視されています。彼女はオレンジ革命のヒロインでした。米国が育ててきたスターがいよいよ権力の頂点に登りつめるのです。
親露派のヤヌコビッチ政権から親欧米派のティモシェンコ政権になったからといってウクライナの国情が良くなるわけではありません。人々の暮らしが向上するわけでもありません。
国の予算の半分が政治家の「お手当て」に費やされる構造は何一つ変わっていないのです。政治家が国の富を簒奪する構造は続くのです。ある大学教授は「この国はほとんど破たんしている」と喝破しました。
日本の「ウクライナ支援1500億円」がムダ金となるのは、火を見るより明らかなのです。米国のお先棒を担ぐ日本のマスコミに乗せられていては、いつまで経っても「米国の財布」から脱却することはできません。
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※失業率
社会保険の支払を渋る企業が被雇用者の実態を明らかにしないため、公式発表と実態は異なる。30%と見るのが妥当といわれる。