在日米軍辺野古基地建設の是非をめぐって争われた沖縄県名護市長選挙で再選された稲嶺進市長がきょう、日本外国特派員協会で記者会見した。稲嶺市長は冒頭次のように話した―
「(先月19日、投開票の選挙で)市民の意思は過半数が “ いらない ” と示した。それでもなお日本政府は辺野古移設をあきらめようとしない。基地の問題は人権に直結する。なおも辺野古に固執するなら日本の民主主義のあり方、熟度が問われる」
「世界各国のメディアが民主主義にのっとった方法で沖縄の問題、名護の問題に関心を持ち、沖縄の実情をそれぞれのお国に伝えて欲しい」。
続いて記者団との質疑応答に入った―
田中:日米協議にも出席し沖縄駐在経験のある官僚が言うには、辺野古に基地を作りたがっているのは日本政府だということだが?
稲嶺:明解な答えだと思う。日米地位協定では、基地は日本のどこかにあればいい。沖縄だとは一言も言っていない。他に受けるという所がないからという理由だ。全く私もその通りだと思う。
アメリカ人記者:今後の展開でアメリカ側の担当者と対話するつもりはないか?非公式でも可能ではないか?
稲嶺:一昨年もワシントンに行き、上・下院議員、専門家らと話した。(国務省の)日本部長とも会ったが、「これは日本の問題だ。日本政府と相談した方がいいんじゃないか」と言われた。4月以降、訪米し、多くの皆さんに訴えたいと思っている。
フランス人記者:基地建設の阻止は具体的にどのようにするか?
稲嶺:工事設営の公告が出されるなど、着々と進められている。環境調査や工事手続きなど建設前提の協議では同意できない。市長が持っている権限を行使していく。
日本人記者:日本政府が民意に反してまで、辺野古に進めようとする背景は何か?
稲嶺:政府は常に日米安保の重要性、抑止力、地理的優位性を説明して来たが、森本元防衛大臣は「軍事的には沖縄である必要はない。政治的に沖縄なのだ」と言った。これまで説明してきた根拠は破綻している。日本国内のどこも受け入れない。国土面積の0.6%、人口の1%という(沖縄と本土の)力関係(が理由)だ。
在日沖縄米軍の問題は、すぐれて日本の問題であると稲嶺市長は指摘した。前出の霞が関官僚、森本敏・元防衛大臣そして米国務省の日本部長もそれを認めている。だがメディアはあたかも米軍の北東アジア、中東方面への展開の都合であるかのように報じる。
歴代の政権は抑止力と称して在沖米軍基地の存在を認めてきた。安倍政権は中国や北朝鮮との緊張を煽るために沖縄の米軍基地を利用していると見た方がよい。辺野古への移設を強行しようとする理由がここにある。