特定秘密保護法案の危険性を知らない大人がまだまだ多いなか、選挙権のない少年少女たちが法案に反対する声を上げ始めた。それも権力中枢である首相官邸前と国会議事堂前で。
今国会、最後の日曜日となったきょう、国会議事堂前にパンクロックの若者たちが集まった。言論の自由を奪う悪法に反対するためだ。
パンクは体制批判を込めた曲が少なくない。「僕ら歌えなくなっちゃいますよ」。集会を呼びかけた少年(神奈川県の高校3年生)は言う。
福島県のパンクグループも呼びかけ人だ。19歳の少女がマイクを握った―
「選挙権を持っている大人たちが何も言わないことに腹がたつ。この法案が成立すれば戦争がやりやすくなる。男性は兵士に取られる。女性は兵士を作る機械じゃない。未来のある私たちの声を聞け。国民なめんナ! 若者なめんナ!」。少女は国権の最高機関に向かって叫んだ。
国会議事堂前にはロックとは関係のない高校生たちも集まった。大人のロッカーたちが演奏でバックアップした。総勢は50人に。
横浜からやって来た男子高校生(3年)は怒りをぶつけるように話す―
「2月に入試がある。追い込み中だが、きょう声を上げなければ、もう上げられなくなると思い来た。親は5年間も選挙に行っていない。 “ 秘密保護法なんてメディアが騒いでいるだけ ” とまで言う。本当に失望した。若者が行動しなければならない。自分たちの未来に関わる問題だから」。
夕方6時からは首相官邸前で高校生4人(2人は議事堂前から移動、別の2人は新参)が声をあげた。倍以上の数の制服警察官が遠巻きにした。
「このデモをテロ行為と呼ぶな。強行採決こそテロ行為だ」。
「高校生の声に耳を傾けろ。子ども達の未来がかかっているんだ」。
「大人は恥ずかしくないのか。高校生が声を上げてるんだぞ」
トラメガを持たない4人の高校生たちは、手製のメガホンで力の限り訴えた。
今夜の行動が明らかになれば大学入試に不利になる。それでも義憤を抑えきれず抗議に参加した。彼らは国家権力の中枢に向かってもの申したのである。
《文・田中龍作 / 諏訪都》