民主党という政党は選挙の度に実態とは真逆のウソをつく。前回(09年)の「マニフェスト詐欺」の次は「脱原発詐欺」だ。原発が消費税と並ぶ選挙の大きな争点となると見るや、「原発要らない」に転じた。
きょう午後、国立市(東京19区)での街頭演説に野田首相が来るのというので覗きに行った。民主党の末松義規・立候補予定者の地元だ。
衆院解散後、初めてとなる首相の街頭演説だが、会場の国立駅前ロータリーには聴衆が500人ほどしかいなかった。党首のお越しとあらば、党は組織を通じて動員をかける。にもかかわらず500人足らずというのはあまりに淋しい数字だ。
末松氏の演説には開いた口が塞がらなかった(「 」内が同氏の発言)―
・「民主党は2030年代までに原発をゼロにしていくことを野田内閣で決定しました」。ただの“決定”なのだ。“閣議決定”とは言わない所がミソである。霞が関も含めた政府全体で合意した最高決定ではないのだ。追及されても逃げ道を用意しておく、民主党らしい小ずるい言い方である。
・「日本という地震大国に原発が要るのか」。大間原発、島根原発、東通原発の建設再開を認めたのは、どこの党だろうか。これらが寿命期間の40年間稼働すれば2050年まで原発は動き続ける。高校生にでも分かるウソをつくのが民主党だ。
・「大きな天災の前には人工の原発は壊れてしまう」。であるなら、なぜ大飯原発を再稼働したのか?
さらに末松氏は「今が決断のし時なんです」とまで言い放った。民主党が切羽詰まった状態で脱原発に取り組んでいるように聞こえる。明らかな「騙し」である。末松氏は選挙区で配ったチラシで「今、原発を停めたら大混乱になる」と書いているのだ。
演説に耳を傾けていた主婦は「(民主党の脱原発を)信じていない。やってることと矛盾している。2030年代までにゼロにできる根拠を示してほしい」と吐き捨てるように話した。「民主党には入れない」と最後に付け加えることも忘れなかった。