原発アリ地獄 0%シナリオでも再稼働、野田政権選挙目当てのまやかし

国家戦略室の説明。原発の利点をひたすら述べた。=6日、大阪府社会福祉会館。写真:田中撮影=

国家戦略室の説明。原発の利点をひたすら述べた。=6日、大阪府社会福祉会館。写真:田中撮影=

【大阪=田中龍作 / 諏訪京】

 「電力源に占める原発の割合」を政府が国民に聞く意見聴取会、討論型世論調査、パブリックコメントは、いずれも「原発0%」を望む意見が多数を占める。一部メディアは「世論が脱原発」と書きたてる。

 ところが、これらの調査の裏には官僚と原子力村の「悪企み」が潜んでいるのだ。脱原発を願う市民は決して手放しで喜んではならない。

 討論型世論調査が終わった翌日の6日、大阪で政府と環境・市民団体が意見交換会を持った。意見聴取会などを主催する「国家戦略室」がホームページ上で「環境団体の意見を聞きたい」と募り、大阪の12の環境NPOなどが呼応して開いた。

 国家戦略室からは環境省低炭素社会推進室の大川正人・室長補佐が出席した。大川室長補佐は、「化石燃料は中東に頼る」「地球温暖化防止のため」「電力コストを抑えるため」などと説明した。“だから原発は必要なんだ”と言わんばかりだった。大川補佐が用いた資料は全国で開かれた意見聴取会と同じ物である。

 続いて環境NPO6団体が意見を述べた。6団体のほとんどは、政府案の3シナリオ(0%、15%、20~25%)全てを否定した。

環境NPOの説明。「脱原発」「CO2削減」「経済成長」は可能である。=写真:田中撮影=

環境NPOの説明。「脱原発」「CO2削減」「経済成長」は可能である。=写真:田中撮影=

 「気候ネットワーク」や「CASA(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議)」は、CO2削減の目標値を決めた京都議定書採択(1997年)の頃から、「原発を廃絶し」「CO2も減らし」なおかつ「経済も成長する」ためのモデルを構築してきた。15年がかりの研究は、政府の説がまやかしであることを浮き彫りにする。

 CASAの早川光俊専務理事は「(0%でも)明らかに再稼働ありきのシナリオになっている」と切って捨てた。

 15%、20~25%シナリオで原発が再稼働するのは言うまでもない。だが0%シナリオでも2030年までに原発をゼロにすればよいだけなのである。それまでは原発は動き続けることになる。即時廃炉にしない限り本当の「原発0%」はあり得ないのだ。

 意見聴取会、討論型世論調査、パブコメで、いくら0%シナリオが圧倒的多数を占めても、2030年近くまでは動くのである。0%シナリオを国民が選択すればするほど、原発の再稼働に御墨付きを与えることになる。「国民の意見を広く聞いたとするアリバイ作り」などという甘いものではないのだ。

 意見交換会の終わりに政府の大川氏がちらりと本音を漏らした。「皆さま、パブコメを是非書いて出して下さい。私はそのために来たようなものです」。

「原発をゼロにします」、野田政権が新聞・テレビを使って高らかに謳いあげた時は、選挙目当て以外の何ものでもない。原発は動き続けるのである。野田首相が「どうしたら原発をゼロにできるのか」政府閣僚に指示したというが、決して騙されてはならない。

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