「野田(首相)の地元で落選運動を誰か展開してほしい」―去る12日に亡くなった日隅一雄氏(弁護士・ジャーナリスト)の最期のツイートだった。原発事故を引き起こした東電の責任を死ぬ間際まで追及し続けてきた日隅氏は、再稼働を許す政治家を落選させない限り原発は停まらないと考えていたのだろう。
氏の遺志を継ぐ「脱原発、野田退陣要求デモ」がきょう、首相の地元の千葉県船橋市で行われた。高円寺の脱原発パレードを主催する「脱原発杉並」をはじめ「脱原発中野も」「原発やめろデモ!!!」「脱原発船橋(仮)」が呼びかけた。
東京からの遠征部隊の多くは、JR総武線12時43分、三鷹発津田沼行きの列車に示し合わせて乗り込んだ。先頭車両は脱原発カラーの黄色いシャツを着た参加者で一杯になり、「再稼働反対」のプラカードが列車の揺れに踊った。
「この1年3か月間、不安でならなかった。子供の将来のためにも再稼働は絶対阻止しなければならない。署名を集めて厚労省や文科省に行ったが、デモが最も効果的。きょうは敵陣に乗り込む気分」。吉祥寺から乗った母親は頬を上気させながら話した。
母親は西船橋駅の改札をくぐるやトラメガを取り出した。「再稼働反対」「野田はやめろ」……集会場の西船近隣公園までの道のりを仲間の女性たちとシュプレヒコールをあげながら歩いた。
野田首相に対する地元有権者の反発は、東京以上のものがあった。「国民の声を無視する野田首相は早く辞めてほしい。船橋市民として恥ずかしい」。野田氏の事務所がある船橋市薬円台に住む主婦(30代)は声を振り絞った。
脱原発運動に取り組む女性(40代)は怒りも露わに語る。「駅立ちしていた頃は市民と非常に近い政治家だと思っていた。首相に就任した時に“脱原発依存”と言ったのを信じていたのに裏切られた。(09年の総選挙で)野田さんに入れた一票を返してほしい」。
2,200人の参加者(主催者発表)たちは「野田さんも落選すればただの豚」「原発再稼働はダメなノダ!」などと書いたプラカードを掲げながら船橋市の住宅地や商店街をパレードした。
首相の選挙区で落選運動が起きること自体異例だ。消費税、TPP、原発再稼働。野田政権は国民の神経を逆なでする政策ばかりを進めてきた。国家観があるとも思えない。応分の報いがあるのが選挙だ。
首相経験者が落選することにでもなれば前代未聞である。野田氏(千葉4区)はじめ、仙谷政調会長代理(徳島1区)と枝野経産相(埼玉5区)の選挙区に刺客候補を送り込む計画が今、密かに進行中だ。
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