民主党内の原発再稼働・慎重派と推進派が激突した。慎重派の『原発事故収束PT』と推進派の『エネルギーPT』、『経産部門』が17日、衆院会館で初めて合同で会議を開いたのである。
会議は両陣営の座長の挨拶で始まった。
『エネルギーPT』の大畠章宏座長は元経産大臣にして原発プラント(日立)の設計に携わった経歴を持つ。大畠座長は「今年の夏の電力需給を詳細に検討した結果、安全性の確認された原子力発電所は政府の責任において稼働させるべきであろう」と再稼働を求めた。
『原発事故収束PT』の荒井聡座長は真反対だ。「政府事故調、国会事故調が終了していない。規制庁もまだ発足していない。避難計画、ベントフィルター、免震重要棟もまだ…」。荒井座長は再稼働に前のめりになる推進派に対してブレーキをかけた。
合同会議には、電力業界とつながりの深い仙谷由人政調会長代行が出席してニラミをきかした。衆参合わせて100人余りの民主党議員が出席している。秘書による代理出席は数えるほどだ。原発問題は次期選挙の争点になるため、関心が高いのである。
“白熱した議論が展開されるぞ” 筆者は期待した。ところが「はい、報道陣はここまでです」。合同会議事務方(議員秘書)が記者とカメラマンを追い出しにかかった。
言いつけに素直に従う記者クラブメディア。だがフリーやネットメディアは簡単に引き下がれない。「これだけ国民の関心が高まっているのにメディアを排除するのはおかしいじゃないですか?」「コソコソしなきゃいけない理由があるんですか?」。筆者は声をあげた。IWJのスタッフも踏ん張った。
「出てけ!」とヤジを飛ばしているのは、推進派議員だ。仙谷政調会長代行は鬼のような形相で我々をニラミつけた。
フリーやネットメディアは結局、力づくで扉の外に追い出された。密室で何が議論されたのか、知る由もない。福島の事故に至るまでの原子力行政と同様密室である。
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