尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件をめぐる日中両政府の対応に抗議する集会・デモが2日、全国30都道府県で行われた(主催:頑張れ日本全国行動委員会、草莽全国地方議員の会、日本李登輝友の会)。
東京会場となった代々木公園には夥しい数の日章旗がひるがえった。ずっと奥まで続いているため目視では数えきれない。50年余り生きてきてこれほどの数の日章旗を目にするのは初めてだ。参加者の多くはネットで集会を知り駆けつけた。
主催者側の弁士たちが「領海侵犯を許していたら尖閣諸島は中国のものになってしまう」「自分の国は自分で守るしかない」などと訴える度に割れるような拍手が起きた。「そうだっ」の掛け声と共に。
演壇付近は中高年の参加者が占めるが、後ろは若者たちが遠巻きにする。明るく弾けていて目立った。彼らの多くは、インターネットのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・システム)で声を掛け合って来た。
若者たちに話を聞いた――
「中国への抗議集会は今回が初めて。今行かなくてどうする、という気持ちで来た。今の日本を考えると米軍の駐留は必要」(20代女性・横浜市在住)。
「対中抗議はこれが初めて。日本政府の対応にも怒っているが、中国のやり方が許せない。日本には強く見守ってくれる人が必要。現時点ではアメリカを上手に使った方がいい」(20代女性・葛飾区在住)。
「中国は理不尽だ。衝突のもようを撮影したビデオを公開すべき。船長を釈放したのは間違っている」(16歳男子高校生・千葉県在住)。
6人グループの彼らは今回の事件を伝えるマスコミの報道についても「おかしい」と口を揃えた。
媚中派で鳴る朝日新聞までが中国を批判していることについて、埼玉から来た女性(20代)は「あれは何かウラがあるんじゃないかな」と首を傾げながら語る。
横浜市在住の女性(前出・20代)は日本のマスコミ全般が信用できないといった様子で次のように話した。「新聞・テレビは真実が伝わってこない。ナショナリズムが伝わってこない。一方通行だから。その点インターネットは双方向だから市民の声が聞ける。今のメディア状況を何とかしないといけない」。
タレントの新垣結衣によく似た20代の女性が『ナショナリズム』という言葉を使うことに筆者はたじろがざるを得なかった。「メディア状況を何とか…」にはさらに驚いた。
最後に「みんなは、右翼とか愛国者とかじゃなくてナショナリズムを掻き立てられたの?」と聞くと、6人は「そう、ナショナリズムだね」と声を揃えて答えた。
1時間に及ぶ演説集会が終り、デモに移った。デモ隊の先頭から最後尾まではゆうに1キロ以上ある。参加者は2千人を超えた。ほとんどが日の丸の大旗・小旗を手にしている。持参したのもあれば、主催者が用意したのもある。
東京会場だけでこの数である。もし全国から集まって国会を包囲したらどうなるだろうか。菅内閣に限らずこれまでの政権は記者クラブメディアの新聞・テレビだけコントロールしていれば、自らに都合のいいように世論誘導できるとタカをくくってきた。
『だが今後はそう易々とはいかなくなるだろう』―秋風にはためく2千本近くの日章旗が語りかけているようだった。
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