アフガン駐留米軍は2日早朝から、タリバーンが事実上支配する同国南部のヘルマンド州で過去最大規模の作戦を開始した。NATO軍機が空から支援するなか米海兵隊4,000とアフガン国軍650の兵力を投入した。
師団長のラリー・ニコルソン准将は「これまでの作戦とは比較にならないほど大規模」と豪語し、海兵隊将校は「ベトナム戦争後、最大級の(対ゲリラ)陸上戦」と胸を張る。眉唾ものの誇張だが、オバマ大統領就任後、最大規模の作戦であることは間違いないだろう。
大規模作戦を展開する理由は8月20日に予定されている大統領選挙に向けた治安回復だ。春に予定されていた大統領選挙は治安の悪化を理由に延期された。41人が立候補しているが、現職のカルザイ大統領の再選が有力視されている。
だがアフガニスタンは過去最悪の治安状況となっており、「カブール市長のカルザイ氏」は定着した感さえある。米国は前ブッシュ政権によってインストールされたカルザイ大統領が見かけだけでも全土を統治していることをアフガン内外に示さなければならない。
このための大規模作戦だが、急場しのぎに過ぎない。タリバーンに巻き返されるのは時間の問題だ。
アフガニスタンを暗黒国家にしているのは、麻薬と汚職だ。金さえ積めば凶悪犯でも脱獄できる。役人は末端に至るまでワイロを要求し公金を掠め取る。金の源泉は麻薬(ケシ)だ。この麻薬ビジネスに君臨するのがカルザイ大統領の実弟で、カンダハル州議会議長のアフマド・ワリ・カルザイ氏と言われている。
大統領の実弟がタリバーンの聖地であるカンダハル州で州議会議長を務めるというのも摩訶不思議だ。タリバーンの資金源であるケシの密輸で、アフマド氏が兄のコネを使って便宜を図っているとの噂が絶えない。
汚職まみれの政権を支えることは暗黒国家の闇を深くするだけだ。大規模攻勢をかければ誤爆が起き、人々の反米感情はさらに強まる。タリバーンやアルカイーダを利するだけだ。最大規模作戦が聞いて呆れる。