「共謀罪の試し斬りは右翼かヤクザで来ると思っていたら左翼で来た」。ある人権団体関係者が警戒感を隠さずに語った。
神戸地裁できょう、デッチ上げ事件により逮捕された人物の勾留理由開示法廷が開かれた。
毛受裕介裁判官は検察の勾留請求を口移しに言うだけだった。弁護側が尋ねることには「答える必要はありません」などと突っぱねた。
閉廷後、弁護士は田中に「事実上何も言わなかった(勾留理由の開示はなかった)」と無念そうに話した。
事件は去る10月21日に起きた。『人民新聞』(大阪府茨木市)の編集長(60)が兵庫県警に詐欺の容疑で逮捕され、編集部が家宅捜索を受けたのである。
第3者に銀行のキャッシュカードを使わせていたことが、詐欺にあたるというのだ。パソコンやメールの交信記録などが押収された。
月3回発行の人民新聞は「野党共闘」「原発再稼働」「パレスチナ問題」などを取り上げる。
安倍政権に批判的なことを除けば、ごく普通のタブロイド紙だ。『田中龍作ジャーナル』の方がよっぽど偏っている。
捜査当局が狙いをつけたのはキャッシュカードで引き出した金の行き先だ。マスコミ報道などによると、件の第3者は2012年から2017年の5年間に1千万円を引き出した。送金先は中東のレバノン、元日本赤軍の岡本公三氏である。
レバノンの岡本公三氏に送金したからと言って何の犯罪でもない。だからこそキャッシュカードを他人に使わせたことが「詐欺」容疑になるとしたのである。デッチ上げという他ない。
捜査当局は本件をデッチ上げておいて、摘発したい組織に手を伸ばした。7月に施行されたばかりの共謀罪の出番だった。
兵庫県警は共謀罪の適用対象となる「組織的詐欺」を利用して、東京にある岡本氏の支援団体2ヵ所に家宅捜索をかけたのである。
警察はとにかく大きな絵を描くのが好きだ。レバノンの岡本氏までを構図の中に入れ、国際犯罪に持って行きたいのだろう。
「新左翼の新聞に手が入ったに過ぎない」などと他人事のように考えていると、トンデモないことになる。次は赤旗→東京新聞→ソーシャルメディアと来て、しまいには国民の言論の自由までが制限されてしまうことになる。
〜終わり~
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