辺野古で逮捕された大袈裟太郎は権力にとって目障りだった

大袈裟太郎氏(左)と写真家の島崎ろでぃ氏。島崎氏も沖縄で逮捕された経験がある。米軍ヘリパッド建設のため高江の原生林が大規模伐採されていく様子をカメラで克明に記録していたのだった。=7月、都内 撮影:筆者=

大袈裟太郎氏(左)と写真家の島崎ろでぃ氏。島崎氏も沖縄で逮捕された経験がある。米軍ヘリパッド建設のため高江の原生林が大規模伐採されていく様子をカメラで克明に記録していたのだった。=7月、都内 撮影:筆者=

昨日(10日)、釈放された沖縄在住の大袈裟太郎氏に電話取材し、逮捕当時のもようを再現してもらいました。

 「停止棒を奪い取ったでしょ。窃盗の現行犯で逮捕します」。沖縄県警のS警部補はこう告げると被疑者に手錠を打ち込んだ。

 9日午前8時58分、在沖米軍キャンプシュワブ・ゲート「内」―

 ツイキャス動画などで沖縄の今を伝える大袈裟太郎が逮捕された瞬間だ。大袈裟はこの日も辺野古新基地建設に反対する住民の座り込みをネット中継するためにキャンプシュワブのゲート前にいた。

 機動隊は座り込みの住民を力ずくでゲート前から排除する。警備というには度を越した暴力も時にある。排除のもようを撮影されることを警察は極度に嫌う。アツシこと仁尾淳史などは、住民排除に取り掛かる前に機動隊から退けられる。

 逮捕当日、ツイキャス配信していた大袈裟の顔面すぐ前に交通警察用の停止棒(合図棒、誘導棒とも呼ばれる)が迫ってきた。

 「危ない」。大袈裟は反射的に停止棒を払いのけた。払いのけた勢いでつかんだ。停止棒は10秒足らずで機動隊に返した。

墜落したオスプレイの残骸を拾いあげる大袈裟氏。厄介な存在として権力にマークされていたことは確かだ。=昨年12月、名護沖 写真提供:本人=

墜落したオスプレイの残骸を拾いあげる大袈裟氏。厄介な存在として権力にマークされていたことは確かだ。=昨年12月、名護沖 写真提供:本人=

 警察は間髪を入れずに大袈裟をゲート内に押し込んだ。人目につかないようにするためだ。ゲート内は米軍の敷地である。

 「撮らないで。ここは基地内だから」。警察は執拗に撮影させまいとした。それでも撮影を続けた大袈裟は逮捕された。それも警察にとって手っ取り早い現行犯逮捕だ。

 沖縄県警は大袈裟の身柄をいったん那覇地検に送ったが、検察は裁判所に勾留請求できなかった。不当逮捕の動かぬ証拠だ。

 10日午後6時、大袈裟は名護署から釈放された。33時間の留置だった。

 7月、大袈裟は籠池夫妻が大阪地検に連行される5日も前から、籠池邸に寝泊まりしていた。「政治逮捕」の瞬間を見届け、伝えるためだ。

 法曹関係者が指摘する異常なまでの「籠池長期勾留」は、明らかな口封じである。

 もの言えぬ人々の口となって発信を続ける大袈裟太郎。権力にとってはさぞかし目障りだったのだろう。(敬称略)

    ~終わり~
  
  ◇
不当逮捕劇をめぐっては間もなく大袈裟氏本人が手記にする予定です。

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