入れたいと思う候補者は選挙区が違う。しかも遠方だ。投票を頼める知り合いもいない。あの都道府県の首長選挙が気になる。だが仕事、子育て、介護で外出できない。
選挙に興味があっても行動できない有権者や在外邦人・・・こういう人々にうってつけの政治参加方法ができた。
全国から特定の選挙区の有権者に直接でんわ掛けをするボランティア組織「でんわ勝手連(通称デンカツ)」だ。
野党共闘の候補者への投票を呼びかけるボランティアに参加するのである。
デンカツは2015年の統一地方選挙で誕生した。4月の北海道5区補選で、野党統一候補の池田まきさんを応援する「イケマキ勝手連」で一躍有名になった。
デンカツは「一本の電話で世界が変わる」がキャッチフレーズだ。10月の新潟県知事選挙では米山隆一候補(現知事)の当選に大きく貢献した。
天王山となった長岡市で米山候補は6万2,081票を獲得したが、デンカツにより200~300票獲得したのではないかと見られている。数字の根拠は電話ボランティアが相手(有権者)の反応から得た感触だ。米山支持が明確だったのである。
デンカツを考案した 黒川敦彦氏(でんわ勝手連事務局長)によれば、今夏の参院選で25候補についてデンカツチームが立ち上がった。結果は10勝15敗だ。デンカツがなければ惨憺たることになっていただろう。
新潟選挙区で自公候補に辛勝した森ゆうこ候補の陣営は実務能力に長けていて、電話をかける相手や言葉使いに細心の注意を払った。
都知事選挙で惨敗した鳥越俊太郎候補の陣営は、同じ有権者に一日5回も6回も電話をかけ、顰蹙と怒りを買った。
デンカツを活かすも殺すも陣営しだいと言えよう。
衆院選挙は早ければ年明けにも予想されるが、帰趨を決する295選挙区は、すべて1人区だ。接戦を制すれば安倍独裁にストップをかけることも十分可能である。
魅力的な候補者としっかりした陣営にデンカツが加われば、それが現実となる。
~終わり~