今夏の東京都知事選挙で宇都宮健児氏が出馬断念に追い込まれた舞台裏を、選対事務局長がきょう、支持者たちの集会で明らかにした ―
7月11日午後5時30分。東京都知事選への立候補を決めていた宇都宮健児氏と熊谷伸一郎選対事務局長の2人は、民進党の枝野幸男幹事長からホテル・ニューオータニに呼び出された。告示3日前のことだった。(肩書はいずれも当時)
枝野幹事長は「古賀(茂明)さんでいくから検討して下さい」と告げた。「検討」とは出馬断念である。
宇都宮氏は「こんなやり方でいいのか?」と言って、その場を引きあげた。
それからわずか5時間後。2人は再びニューオータニに呼び出された。枝野幹事長は「鳥越(俊太郎)さんで行くことになりました。(宇都宮氏が)降りても降りなくても鳥越さんで行きます」と言い放った。
鳥越氏は民進、社民、共産、生活の推薦候補となる。いわゆる野党共闘である。
熊谷氏が「身体検査をしたのか?」と尋ねたところ枝野幹事長は「やっていない」と答えたという。案の定、週刊誌は待っていたかのように鳥越候補の女性スキャンダルを報じた。
選挙結果は言うまでもなく惨敗である。小池百合子291万票、増田寛也(自公推薦)179万票、鳥越俊太郎134万票。自民分裂選挙となったのにもかかわらず、鳥越氏は当選した小池氏の半分以下しか獲得できなかった。
熊谷氏は「政党に頼らずに自分たちだけで1万4千か所もポスターを貼るのは不可能。それができれば、あのまま立候補していた」と悔やむ。
市民型選挙の難しさを改めて思い知らされる。ポスター貼りなどの力仕事を市民たちの手でやり遂げる体制作りが必要だ。
無定見で人間味のかけらもない政党に、野党共闘を任せておいてはいけない。付け焼刃の候補者選びで自公に勝てっこないのだ。
~終わり~