選挙戦最終日となったきょう(15日)、与党候補の森民夫と野党候補の米山隆一は共に大票田の新潟市で、最後のお願いに懸命の声をあげた。
新潟市内きっての繁華街、万代シティ。陽が没すると、パリっとしたスーツに身を固めた男たちが、ゾロゾロと集まって来た。
彼らは森陣営のスタッフから配られたグリーンのジャンパーをスーツの上に羽織った。動員である。
街頭でビラ配りをしていた他候補のボランティアスタッフたちは「(スーツ姿の男性たちは)電力じゃない?」と囁き合った。
新潟市長、参議院議員、県議会議員、市議会議員が次々と応援演説に立った。
「ヘタをすると共産党主導の県庁になってしまいますよ」「淋しい街になりますよ」・・・
運動員はきょうも噂の法定2号ビラを街頭で配布していた。「赤旗を県庁に立てさせてもいいのですか?」・・・ビラには合理性を欠く誹謗中傷が書き連ねてある。
米山候補に追い上げられ、最終盤で横一線に並ばれた森陣営の焦りだ。
ここに来て森は米山の真骨頂を奪うために、原発再稼働に慎重なポーズを取るようになった。「原子力規制委員会の結論が出てもすぐには再稼働しません。県の技術委員会で検証する」と。
だが、有権者は見抜いていた。
市内在住の60代の女性は言う。「森さんはキッパリ言えないじゃありませんか。それを知ったからにはもう信用できません」。
70代の男性は力を込めた。「森さん、ダメだ。安倍さんと握手した。原発を今度再稼働してもゴミの捨て場がない。後始末どうするんだ」。
最後の街頭演説となるマイク納めは、両陣営とも新潟駅前となった。
米山を支持する市民たちが歩道を埋め尽くした。「ヨネヤマ、ヨネヤマ」。自然発生的に米山コールが起きた。
幼な子を連れた母親や、手作りの応援グッズを振る老人・・・さまざまな年代の聴衆が熱心に聞き入り、声援を送った。
森の街頭演説には、子連れはいなかった。スーツの男たちと、小奇麗な格好をした中年夫婦が目についた。
「モリタミオ、モリタミオ」。運動員だけが「森民夫コール」を繰り返したが、聴衆は反応しなかった。
最後の街頭演説が終わり、森はグッタリ疲れた表情を隠せなかった。選対幹部が「大丈夫、大丈夫」と森の肩を抱いた。 (敬称略)
~終わり~