文・辻井裕子 / 主婦
26日から90日間の日程で召集される秋の臨時国会。先日、国連総会のためNYを訪れたアベちゃんが、TPPについて華々しくぶち上げた。「アメリカに率先して承認する!」。廃案にならず継続審議とされていたのが恐ろしい。
壊国条約とも言われるTPP。今年の参院選では北海道、東北地方のほとんどで反TPP候補が勝利したのは記憶に新しい。
農業ばかりではない。保険、医療、あらゆる分野で外国企業が国家さえ訴えることのできるISD条項を忍ばせたTPPになぜアベ政権は前のめりなのか?
そこで社会に無関心すぎる「無防備な日本人」パート2の本稿ではTPPについて聞いた。前回と同じく意識高い系と言われる杉並エリアで3つの質問を道行く人に投げてみた。
質問は「TPPを知っていますか?」、「アメリカの大統領選挙がいつ行われるか知っていますか?」、そして「アメリカの大統領候補者(トランプ、ヒラリー)が、TPPはやめるべきと言っているのを知っていますか?」。
「TPPについて・・・」と問いかけた瞬間、人々は逃げるように去っていく。「TPP=難しい話」と思う人が多いのか。実際に質問に答えた人数は44名だった。
「TPPを知っていますか?」という質問では、44人中、「知っている」が2人、「何となく知っている」が23人、「知らない」が19人だった。
「アメリカの大統領選が、いつ行われるか知っていますか?」では、44人中、「知っている」が8人、「何となく知っている」が10人、「知らない」が26人だった。ほとんどの人が知らない。
「アメリカの大統領候補が、TPPはやめるべきと言っているのを知っていますか?」では、44人中、「知っている」が10人、「何となく知っている」が9人、「知らない」が25人だった。
アメリカ大統領候補が揃ってTPP反対であることを、ほとんどの人は知らない。
最後にTPPについての自分自身の考えを聞いた。44人中、「分からない」「複雑なので答えられない」は29人いた。「TPPに反対だ」「どちらかというとやめた方がいい」が6人。
「アメリカが扇動してきたのに、この展開は理解できない」が4人いた。「日本は追随するしかない」「日米ですり合わせて推進していくべき」が3人・・・もはや日本のほうが積極的なんですが。
また、「日本独自の判断でどうするか決めた方がいい」が1人、「分からないまま勝手に決めてほしくない」が1人だった。
「TPPを知っている」「何となく知っている」25人に、どの程度知っているのかを聞いたところ、ISD条項について正確に答えられた人は1人もいなかった。
実際のところ、ISD条項を知らずして、TPPを知っていることにはならない。「知っている」と思っている人も、実は「知っているつもり」なだけで、熟知していない。
TPPに関しては、「沖縄・高江を知っていますか?」と聞いた前回の認知度を上回る悲しい結果に終わったのだった。
~終わり~