安保法制は違憲であると唱え続けてきた小林節・慶大名誉教授が、「99%」のための新党を立ち上げた。党名は「国民怒りの声」。
今週中に東京都選挙管理委員会に政党としての届け出を出し、正式に発足する。
参院選には10名の候補者をまずは比例区に立てる方針だ。党代表となる小林氏も立候補する。
「自公と大阪維新に3分の2を取らせない。願わくは参院選で勝って ねじれ を作る」。小林代表は選挙にかける意気込みを語った。
基本政策は―
1、言論の自由の回復(メディア、大学への不介入)
2、消費税再増税の延期と行財政改革
3、辺野古新基地建設の中止と対米再交渉
4、TPP不承認と再交渉
5、原発の廃止と新エネルギーへの転換
6、戦争法の廃止と関連予算の福祉・教育への転換 / 改悪労働法制の改正等により共生社会の実現
7、憲法改悪の阻止
小林氏はきょう午後、プレスセンターで記者会見を開き、党の理念や新党立ち上げに踏み切った理由などを説明した。
「国がブラック企業化している。新自由主義によって1%が豊かで他(99%)はおこぼれが来るなんて失礼な話です」。アベ政治への怒りは憲法破壊に対してだけではなかった。
選挙戦に必要な資金はクラウドファンディングで集める、という。99%の人々のために立ちあがり米大統領選に旋風を巻き起こしたバーニー・サンダース氏の手法と同じである。
田中が「サンダース氏の影響か?」と聞くと、小林氏は我が意を得たりの表情で答えた。
「(サンダース氏には)大変影響を受けた。(クラウドファンディングで)票と心をもらっているんです」と。
基本政策の一つに「改悪された労働法制を改正して共生社会を実現する」とある。99%の人々を守るためだ。
「共生社会」は小泉・竹中政治の登場ですっかり姿を消した、本来の保守政治の理念でもある。
大新聞の記者から「野党同士で食い合うことにならないか?」と質問が出た。
小林氏は「食い合うくらいなら(そんな野党は)死んだ方がいい」としたうえで「裾野を広げなくちゃいけない。中間層の受け皿が必要・・・投票率を上げる装置が必要」。
新党「国民怒りの声」は、1人区には原則として候補者を立てない。ただし推薦してほしいという人が現れた場合、政策が合致し納得が行く人物であれば、推薦を出す方針だ。
官邸の意向を忖度するマスコミが指摘するように野党共闘を妨げたりはしないのだ。
「参院選の比例区は統一名簿方式で戦うよう野党に呼び掛けてきたが理解が得られなかった」-小林氏は新党設立の やむなき に至った苦しい胸のうちを明かした。
政党を立ち上げ、選挙に出ようというのに小林教授にぎらついた表情はなかった。
明治憲法に回帰しようとする改憲勢力が王手をかけた後の日本で繰り広げられる光景はどんなものか。小林教授にはその姿が見えているはずだ。
法治国家の瓦解、人権蹂躙、親を戦争で殺され泣く子供たち・・・
小林教授が悠々自適を捨ててまで訴えたかったものは、これが本当に最後のチャンスだよというメッセージではないだろうか。
「統一名簿方式ができれば旗を降ろす。選挙に出るのが目的ではないから」。老憲法学者は結んだ。
~終わり~