「憲法守れ」「集団的自衛権は要らない」・・・若い声が高らかにシュプレヒコールをあげる。そこにいるのは学校の制服を着た少年少女だった。
彼らは、いま現在は高校生だ。だが、安保法制成立後の将来、兵隊になっているかもしれない。
「戦争には行きたくない」。アベシンゾーへの反発が彼らを駆り立てたのか。制服の少年少女たちが「戦争法案反対」を訴えて、きょう、渋谷の繁華街をデモ行進した。
都内の高校2年生(男子)はストレートに危機感を表した。「(安保法案が)通っちゃうと僕たちが戦争に行かなきゃならなくなる。徴兵制は絶対ダメ」と。
「高校生に政治はタブーという風潮があるが、小さな声を集めてタブーを壊したい」と語るのは、千葉県船橋市から参加した女子高校生(2年)だ。
彼女の友人には経済的な事情から「自衛隊員になりたい」と志望している女子生徒もいるという。
「奨学金の返済延滞者は防衛省(自衛隊)のインターンシップをやってもらえば・・・」。文科省の有識者会議で日本学生支援機構の運営評議員が発言していた(※)。
奨学金を貸し付ける側が「返せないんだったら軍隊に入ってもらおうじゃないか」と言ったのである。露骨な経済的徴兵制だ。
「大学には奨学金で行きたいけど、経済的徴兵制があるからねえ、どうしようかなあ」。習志野市の女子高校生(2年生)は、苦しそうに語った。手で汗をぬぐう仕草が彼女の苦悩を物語っていた。
経済的徴兵制は現実味を帯びつつあるようだ。
彼らは安倍政権の下心を十分に知っている。安保法制への理解は少年少女にまで進んでいるのだ。明らかに戦争に導くものである、と。
「将来、もし子供が戦争に取られそうになったら、海外に住む」。前出(習志野市)の女子高校生は厳しい表情で言った。
デモ隊の中には年金生活者(69歳・渋谷区)の姿もあった。「孫の世代に付き添いたいので参加した。このまま行けば、彼らの将来は間違いなく真っ暗だ」と心配する。
少年少女をここまで追い詰める日本に未来はあるのだろうか。
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(※)
「経済的徴兵制」 日本学生支援機構・委員がマッチポンプ
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