「ああいう狂ったことをやる政権は今度の選挙で倒すしかない」・・・
野党のアジテーターが言っているのではない。改憲派の憲法学者が力説しているのである。
4日、国会の憲法審査会に招致され「集団的自衛権は違憲である」と証言した憲法学者2人が、きょう、日本外国特派員協会で記者会見した。小林節慶大名誉教授と長谷部恭男早大教授だ。長谷部教授は自民党推薦の参考人だった。
外国特派員協会では日本の記者クラブのように政権に気兼ねした質問は出ない。英ロイター通信の記者が単刀直入に聞いた。
ロイター:どんなに違憲だと言っても(安倍政権は)数をたのんで強行採決するのではないか?
長谷部:次の国政選挙で新しい政府を成立させ、法律(安保法制)を撤回させるべきだ。
小林:弁護団の一員として訴訟の準備をしている。法律ができた瞬間から「平和に生きる権利がある」と謳う憲法の前文と、(非戦を唱える)憲法9条が侵される。
田中:今出されている法案は撤回すべきか?
長谷部:撤回すべき。集団的自衛権の行使は違憲である。また他国の軍隊と自衛隊の一体化をもたらす。撤回しないなら選挙で倒すべきだ。
小林:撤回すべきだ。恐ろしいのは憲法違反がまかり通ると北朝鮮みたいになる。キム家と安倍家が一緒になる。自衛隊は米軍の2軍になり、経済的打撃も被る。国が破産する。
ブルームバーグ:安保法制が通らなければ日米関係は悪化するか?
長谷部:悪化するかもしれないが、無理な約束をしたことに原因がある。
小林:(日米安保)ガイドラインに法的拘束力はない。(アベとオバマが)勝手に夢(日米で軍を共同展開する)を語り合った。ガイドラインの上に法律があり法律の上に憲法がある。官僚は頭がいいから「やっぱりダメだった」となるだろう。
小林名誉教授は最後にマスコミの責任に言及した。「弁護士会が1年半くらい(安保法制反対)運動を続けていたが、メディアが死んでいた。高いランクの裁判官、検察官から『おっしゃる通りだ、頑張ってくれ』と電話が来る。それを国民が共有していないのが問題だった。やはりメディアの責任だと思う・・・」。
2人の教授は「選挙で安倍政権を倒すべき」と繰り返した。だが「寿司友」に象徴されるマスコミが安倍内閣を支えるため、依然として高い人気を誇る。選挙で倒すのは容易ではない。
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