26日に投票が行われたウクライナの最高議会選挙は、ポロシェンコ大統領自身のブロックと大統領を支持する政党が過半数を制することが確実になった。
中央選管の中間発表によると、ポロシェンコ大統領自身の政党「ソリダリティー」と元ヘビー級ボクサーチャンピオンのクリチコ氏率いる政党「ウダル」が合流した「ペトロ・ポロシェンコ・ブロック」の得票率が21・59%を占めている。
大統領を支持する政党はヤツニューク首相率いる「フロント」が21・7%、キリスト教民主主義に基づく「セルフヘルプ」が10・79%となっている。
得票率だけで見れば、「ポロシェンコ連合」は過半数を制したことになる。
ポロシェンコ氏はじめヤツニューク氏、クリチコ氏・・・親露派のヤヌコビッチ前大統領の追放劇で活躍した政治家が、お墨付きを得たのだ。
~ロシアに金の成る木奪われ~
投票所で有権者にインタビューした際、「ポロシェンコになっても何も変わらなかった」と答えた女性がいた。(前稿で紹介)
これは「誰が大統領になっても同じ」という意味だ。
そこそこの知識人であれば、ウクライナの経済を立て直すことがもはや不可能であることを知っている。
地元通貨フリブナの対ユーロ換金レートが8月を境に急激に落ちた。大統領選前の5月には1ユーロ≒10フリブナだったのが、現在は1ユーロ≒17~18フリブナだ。
為替レートがわずか5か月で70%も落ちたのである。
最大の理由は国家財政の悪化だ。もともと国家予算の半分が政治家へのお手当てに消えてゆく お国柄 だった。
それに加えて重工業地帯の東部と観光地のクリミアが税金を納めなくなった。財政が底をつくのは当然だ。
ヨーロッパのジャーナリストと話すと彼らは異口同音に「ウクライナは政府の体をなしていない」と言う。
イギリス国営放送のBBCでさえ‘Ukraine economy is collapsing’=「ウクライナの経済は崩壊している」と言い始めた。
老舗の名門ホテルは気温が氷点下となっても客室にスチームを供給しない。ロビーは真っ暗で震え上がるほど寒い。
国家が崩壊しても政治家は痛くもかゆくもない。個人資産はすべて欧米の金融機関に預けてあるからだ。
政変に乗じて、ロシアは金の成る木だったクリミアを手中に納めた。東部がロシアの手に落ちるのは時間の問題だ。
政治家が米国に踊らされたツケは、すべてウクライナ国民にのしかかって来る。極東のどこかの国にとって対岸の火事ではない。