日本を むしばむ 2大勢力をテーマにしたシンポジウムが13日、都内で開かれた(主催:メディア総研)。2大勢力とは「安倍政権」と「記者クラブメディア」だ。両者は互いを支え合っているから始末に負えない。
(パネリスト:岸井成格=毎日新聞特別編集委員/青木理=フリージャーナリスト/白石草=Our Planet TV代表/三木由紀子=NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長)
政治記者歴40年の岸井氏は「安倍政権を完全に支えているのは讀賣新聞」とズバリ指摘した。
「政治献金の復活が示すように財界も安倍政権にすり寄っている」。そのため「日経新聞も安倍政権寄り」とした。岸井氏によれば、安倍政権を支えるグループは「讀賣」「産経」「日経」。
「讀賣、産経の特ダネは読むと官邸から流されていることが分かる。特ダネは取るものではなく、もらうものになった」。
「政権を明確に支持する新聞がこれだけ出てきたのは初めて」と岸井氏は憂う。「政権に批判的なのが朝日、毎日、東京。その一角の朝日が(誤報問題で)バッシングを浴びている」。
敵失に乗じているのが讀賣だ。フリージャーナリストの青木理氏によれば讀賣新聞の販売局は全国の販売店に「(朝日の誤報問題は)千載一遇のチャンス。A紙、A販売店を徹底的に攻撃せよ」と指示書を出しているのだそうだ。
自分を支えるメディアが自分の意に沿わぬメディアを叩く。安倍首相にとって、これほど有難いことはない。
こんな安倍政権の支持率が高いのはなぜか? 司会者が尋ねた。
岸井氏は「固定電話による聞き取り調査」と「メディアへの露出度」の二つをあげた。
「安倍首相は月に一回外遊に行き首脳会談をする。被災地にも足を運ぶ。露出度が高いほど好感度があがる」。
「電話調査」「外遊、被災地訪問報道」ともにメディアの手のなかにある。
安倍政権の要諦である人事も警戒しなければならない。
「内閣人事局で官僚の人事をコントロールできるようにした安倍政権は、日銀総裁、NHKも決める。次は新聞社の人事に口を出してくるのではないか」と岸井氏は危機感を募らせる。
もし実現すれば「安倍独裁」は完成の域に達する。
マスコミとタカ派政権が手を握った時、国家は一気に戦争への道を突き進む。昭和初期の歴史を見れば言うまでもない。